2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア選択的分解における新奇オルガネラ間膜蛋白質輸送機構の解析
Project/Area Number |
21K06161
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小谷野 史香 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主任研究員 (50747681)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユビキチン / p97/VCP / ミトコンドリア / ペルオキシソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
分泌経路においては膜小胞を介して様々な蛋白質がオルガネラ間を移行する。一方で、分泌経路以外における膜蛋白質のオルガネラ間輸送に関する知見は限られている。本研究では、研究代表者が見出した現象、即ち「ミトコンドリア外膜ユビキチンリガーゼMITOLが、ミトコンドリアの損傷に伴い、ペルオキシソームに移行する」という予想外の発見における生理的意義を明らかにする。また、MITOLをミトコンドリアから引き抜くために必要な因子を探索する過程で、p97/VCP ATPaseシャペロンのMVP1(Mitochondria-associated VCP-interacting Protein 1)を欠損するとペルオキシソーム不全となることを見出した。このMVP1の作用機序を解明することで、ペルオキシソームの恒常性が維持される機構の核心に迫る。 今年度は、「MVP1がペルオキシソームの恒常性を維持する機構」に注目して、そのメカニズムを解明するために実験を行った。MVP1を欠損するとペルオキシソームの分解が促進されるか、もしくは、ペルオキシソームの形成・成熟過程において必須な因子が適切に供給されない可能性が考えられる。そこで、今年度は、MVP1の機能解析を基軸に、MVP1欠損細胞を用いて、ペルオキシソーム形成因子の局在を調べるとともにペルオキシソームの分解および生合成の性質・程度を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p97/ VCPと連携して機能するMVP1のペルオキシソームにおける役割について、以下の手順で検証を行っている。 (1)MVP1欠損細胞ではペルオキシソームの減少・消失が認められるが、MVP1を安定的に入れ戻すことで上記の表現型が回復することを確認している。そこで、MVP1欠損細胞でペルオキシソームの形成因子が異常な細胞内局在を示すかどうか検証した。 (2)MVP1欠損細胞においてペルオキシソーム形成因子が既報と異なる局在を示した場合、ペルオキシソーム形成・成熟過程においてMVP1が他のオルガネラからペルオキシソーム形成因子を運搬している可能性がある。そこで、相互作用の有無を免疫沈降法で解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
出産のため一時的に研究を中断しているが、今後の研究計画は以下を予定している。すなわち、pHによって励起波長が遷移するKeimaをペルオキシソームに標的化したうえで、MVP1欠損細胞ではペルオキシソーム分解が促進しているかフローサイトメトリーで検証する。また、MVP1の免疫沈降によって得られたサンプルを用いて質量分析により関連因子を探索し、その因子群の機能解析および一連のメカニズム解明に向けて検証を進めたい。
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Causes of Carryover |
(理由)出産により研究を途中で一時中断しているため、研究費の一部を次年度繰越しとする。 (使用計画)研究再開後には、主に抗体や免疫沈降用のビーズ、細胞培養用消耗品の購入のために使用したい。
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Remarks |
(1)webページタイトル:小谷野 史香ユビキチンプロジェクト主任研究員(現細胞膜研究室主任研究員)が令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞
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