2023 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of neural differentiation in Wnt signaling by WNK.
Project/Area Number |
21K06165
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澁谷 浩司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30261324)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | WNK / Wntシグナル / E3 ligase / β-catenin / GSK3β |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は高血圧症PHAII原因遺伝子WNKの解析からWNK→SPAK/OSR1→共輸送体というシグナル伝達経路が腎臓における血圧調整に関与することを示した。一方、WNK1は遺伝性知覚ニューロパチー(HSANII)の原因遺伝子でもあり、WNK1シグナルがLhx8遺伝子の発現を介して神経分化に関わることを明らかにしている。本研究課題ではWNKとβ-catenin分子を中心としたWntシグナルについて解析を進め、神経発生におけるWNKシグナルの機能を解明することを目的とした。 これまでWNK/HSN2シグナルにおいてHSANII患者で報告されているHSN2変異体を用いた解析から神経分化における役割を明らかにし、これらのシグナル系によるHSANII発症機構を明らかにした。また、XenopusのE3 ligaseであるMaea.Sによるβ-カテニン分解制御について解析を進め、Wntシグナル伝達の新たな抑制機構、それに関連する胚発生機構を明らかにした。これら2つの研究成果は、令和4年度に原著論文として発表することができた。 本年度はWNKによるβ-catenin分子の分解機構を既知のWntシグナルと比較するため、E3 ligase分子に焦点をあて、研究を進めた。WNKの制御下で働くE3 ligase(MAEA)とWntシグナル制御に関与するとされるE3 ligase(β-Trcp)、それぞれのノックダウン実験を行い、Wnt刺激下におけるMAEAの重要性を明らかにできた。一方でWntシグナルではGSK3β分子との関係性についても検討した。その結果、Wnt刺激に呼応したGSK3βによるMAEAに対する制御を確認できた。今後E3 ligaseノックアウト細胞樹立し、より詳細な分子機構に関する研究を重点的に進め、WNK遺伝子の神経分化における役割を明らかにし、次年度には原著論文としてまとめたい。
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