2021 Fiscal Year Research-status Report
一回膜貫通型蛋白質プレキシンによるシグナル伝達機構の構造学的解明
Project/Area Number |
21K06166
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 博視 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト准教授 (50635472)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 一回膜貫通型蛋白質 / GTPase / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物における細胞形態の動的制御にかかわる一回膜貫通型受容体であるプレキシンは、進化的に古くから存在し、リガンドの結合に伴う細胞外領域の二量体化により構造を大きく変化させて細胞内の効果器へと信号を伝える。この柔軟な構造変化を可視化するため、ヒト、ショウジョウバエ、立襟鞭毛虫のプレキシン・セマフォリン遺伝子をクローニングし、蛍光ゲル濾過クロマトグラフィ法(FSEC)による全長タンパク質の安定性評価を行なった。そのうちヒト・ショウジョウバエそれぞれについて数種類の有望な候補が得られた。立襟鞭毛虫の遺伝子に関しては、セマフォリンの細胞外ドメインの発現は確認できたが、プレキシンについてはタンパク質は発現するものの細胞外への組み込みが不完全であるため、分泌シグナル配列領域の再検討を要する事がわかった。ヒトプレキシンに関してはセマフォリンとの複合体を脂質ナノディスク再構成系を用いて精製し、クライオ電子顕微鏡により粒子像を撮影した。画像解析をおこない、二量体を形成したリガンド結合状態である電顕マップを得る事ができたが、粒子の配向性に偏りがあるために分解能に制限が見られたため、試料の作製方法を最適化する必要がある事がわかった。また、表面プラズモン共鳴法によるリガンドとの親和性測定のためのビオチン標識用コンストラクトの作製した。発現はGFP融合コンストラクトと同様に哺乳類培養細胞系を用い、精製にはHisタグを用いて行える事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発現スクリーニングにより得られた安定タンパク質の精製を元に、リガンドタンパク質の発現精製および複合体の形成にも成功し、クライオ電子顕微鏡による観察段階へと移る事ができたため、本研究計画が順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトセマフォリン・プレキシン複合体のクライオ電子顕微鏡撮影に適した試料の最適化をおこなう。脂質ナノディスクの種類を再検討すると同時に、他の脂質様再構成系の条件を再検討する。他の種のプレキシンに関してはリガンドとの親和性検討を表面プラズモン共鳴法により測定し、適したリガンドを選択する。その上で、ヒト以外でのセマフォリン・プレキシン複合体の発現精製をおこない、ネガティブ染色法による性状評価を行うととともにクライオ電子顕微鏡用の試料を作成する。
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