2022 Fiscal Year Research-status Report
Regulation mechanism of autophagy by metabolites
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21K06178
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
船越 智子 (石井智子) 順天堂大学, 医学部, 特任助教 (90318460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代謝中間体 / 代謝産物 / オートファジー / セミインタクト・リシール法 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは酵母からヒトにいたるまで真核生物に広く保存された自己成分を分解する機構である。細胞が自己の細胞質成分や損傷した細胞小器官などを分解して、異常成分の蓄積を防ぎ、生じた代謝物を再利用することで、恒常性の維持に貢献している。細胞内代謝のシステムには代謝中間体や分解解産物によるフィードフォワード・フィードバック機構が存在するため、代謝中間体あるいは代謝産物によってオートファジー自体が制御される可能性がある。 本研究課題では、まず、オートファジー活性に影響を与え得る代謝中間体候補の同定を目的として、代謝中間体評品ライブラリーのスクリーニングを実施した。オートファジー活性の可視化リポーター(タンデム蛍光標識LC3, tfLC3)と、セミインタクト・リシーリング法を利用して、これまでに、目的の代謝中間体候補を複数得ることが出来ている。オートファジー活性を低下させる1候補については、膜透過修飾型を合成して生細胞での活性を評価した。tfLC3を一過性に発現させた培養細胞に添加したところ、膜透過修飾型はオートファジー活性を低下させたが、非透過型による効果は認められなかった。 この膜透過修飾型の添加によって、オートファジーの分解基質であるLC3、p62が細胞内に蓄積することがわかった。そこで、オートファジー分解の場であるリソソームの活性に対する影響を調べるため、DQ-BSAを用いて検証した。DQ-BSAはウシアルブミン(BSA)に蛍光色素であるBODIPYが付加されており、細胞内で分解をされて初めて蛍光を発する特徴を持つ。溶媒のみを添加した場合の70%程度まで蛍光輝度値が低下したことから、DQ-BSAの利用した系でも本代謝物がリソソームの機能を阻害することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代謝中間体評品ライブラリーのスクリーニング系を使用して、オートファジー活性を低下もしくは増強させる代謝中間体の候補を複数得ることができた。そのうち1候補については膜透過修飾型と合わせて評価を進めることができている。その一方、他の候補群についての評価が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本スクリーニングで得られた候補代謝中間体の作用機序について生化学的解析を進める。特に、一候補については膜透過修飾型を合成することで通常の培養細胞においてもオートファジー活性への影響について評価することが可能となっている。本中間体のオートファジー活性抑制効果は、リソソーム機能抑制に起因することが示唆されているため、リソソーム数や酸性化状態、リソソームとオーファゴソームの融合過程など、作用し得るステップについて検証を進める。
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