2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア動態制御因子による褐色脂肪細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06179
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
長島 駿 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40634465)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 褐色脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満や生活習慣病は心疾患などのリスクを高めることから、肥満の予防は健康寿命の延伸に重要である。褐色脂肪細胞は熱産生による体温調節を担い、エネルギーを消費する役割を持ち、褐色脂肪の活性化は肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に大きな効果を持つことが期待されている。ミトコンドリアは褐色脂肪細胞の熱産生を行う場である。本研究はミトコンドリアなどのオルガネラ動態が褐色脂肪細胞の分化を制御するかを明らかにする。 生後0日目のマウス新生児の肩甲骨間から褐色脂肪前駆細胞を取り出し、初代培養を行った。siRNAを用いて目的遺伝子をノックダウンした後に、分化誘導刺激を行い、褐色脂肪細胞の分化状態を比較した。中性脂肪染色試薬であるLipidTOXを用いて脂肪滴の形成率や、Western Blot法と定量PCR法を用いて褐色脂肪細胞マーカーであるUCP1などのタンパク質量やmRNA量を比較した結果、ミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞では褐色脂肪細胞への分化が抑制されていることが明らかとなった。 褐色脂肪細胞はMyf5陽性の骨格筋細胞の前駆細胞から分化し、この分化の方向性をPRDM16が決定している。PRDM16を欠失すると褐色脂肪細胞ではなく、骨格筋様の細胞に分化する。本研究においてもミトコンドリア動態制御因子の欠失により分化の方向性が変化し、骨格筋様の細胞に変化しているか検証したが、ミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞では骨格筋様の細胞への分化は認められなかった。また、ミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞の分化制御因子の継時的な変化を解析した結果、ミトコンドリア動態制御因子は分化の早期に関わることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化の早期の段階で関わることが明らかとなった。また、レンチウイルスベクターを用いたレスキュー実験の予備実験を行い、条件検討が完了したこと、RNAシーケンスを用いた実験データが得られており、今後も順調に研究データが取得できる状況であることから、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞にレンチウイルスベクターを用いて目的タンパク質を再発現させ、分化が正常に行われるか確認する。RNAシーケンスによって得られたデータから、ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御する分子メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2021年度は、RNAシーケンス解析を行ない、変化の認められる因子の候補が見つかった。RNAシーケンスで得られたデータを基に分子メカニズムの解明を進めている。解析の結果により、購入すべき抗体やsiRNAなどの物品が変わるため、次年度使用額が生じた。 RNAシーケンスで得られたデータの確認実験や実験の条件検討が大方完了したので、次年度は実験データを得るための抗体やsiRNAの物品を購入する。
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