2022 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア動態制御因子による褐色脂肪細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06179
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
長島 駿 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40634465)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 褐色脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症は2型糖尿病や脂質異常症、脂肪肝などの生活習慣病を併発させるリスクがあることから、肥満の予防は健康寿命の延伸に寄与すると考えられている。褐色脂肪細胞は中性脂肪であるトリアシルグリセロールを分解して熱エネルギーに変換し、中性脂肪を消費することが知られており、肥満を解消するための標的として注目を浴びている。褐色脂肪細胞には非常にミトコンドリアが豊富に存在しており、熱産生にも重要な役割を担っている。本研究により、褐色脂肪細胞の分化時におけるミトコンドリア動態の生理的意義を明らかにする。 生後0日目のマウス新生児の肩甲骨間から褐色脂肪前駆細胞を取り出し、初代培養を行った。siRNAを用いて目的遺伝子をノックダウンした後に、分化誘導刺激を行い、褐色脂肪細胞の分化状態を比較した。これまでにミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞では褐色脂肪細胞への分化に異常が認められていた。レンチウイルスベクターを用いてミトコンドリア動態制御因子を発現させると、発現量の強いプロモーターではミトコンドリア形態が異常となる問題点があった。その問題点を発現量の弱いプロモーターへ変更し、解決することができた。ミトコンドリア動態制御因子を抑制した細胞に、適切な量のミトコンドリア動態制御因子を再発現させると、ミトコンドリア形態や褐色脂肪細胞の分化の回復が認められた。ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御することが明らかとなった。次にRNAシーケンスを用いて、ミトコンドリア動態制御因子抑制細胞で変化が認められる分化制御因子の探索を行なった結果、いくつかの候補因子が特定された。現在、ミトコンドリア制御因子と特定された褐色脂肪細胞の分化制御因子の関連について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再発現実験により、ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御することが明らかとなった。RNAシーケンスで得られた結果を基に、ミトコンドリア制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御するメカニズムの解明を進めている。いくつかの候補は既に解析を進めていることから、研究が順調に進展すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に着手しているミトコンドリア動態制御因子による褐色脂肪細胞の分化メカニズムの解明を進める。また、褐色脂肪細胞の分化を制御するミトコンドリア動態制御因子のドメインの同定、そのドメインに結合する因子や制御機構の解明を進める。
|
Causes of Carryover |
RNAシーケンス解析で得られたデータを基に解析を進めている。2022年度にいくつかの候補因子に関する抗体等の試薬は購入し、解析を進めた。解析の結果次第でRNAシーケンスやプロテオーム解析が必要な可能性が出てきたため次年度使用額が生じた。 2023年度は本研究を進展させるために、抗体やsiRNAなどの試薬の購入、RNAシーケンスやプロテオーム解析の費用、シャーレ等の消耗品の購入に使用する。
|