2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア動態制御因子による褐色脂肪細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06179
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
長島 駿 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40634465)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 褐色脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は2型糖尿病、脂肪肝、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こすリスク要因であり、健康寿命を延ばすためには肥満の予防が重要である。褐色脂肪細胞はトリアシルグリセロールなどの中性脂肪を分解して熱エネルギーに変換し、脂肪の消費を促進することで肥満防止に寄与する。この褐色脂肪細胞はミトコンドリアを豊富に持ち、ミトコンドリアが熱産生を行う場である。褐色脂肪細胞の増加や活性化は肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に大きな効果を持つことが期待されている。 ミトコンドリアは細胞の状態に応じて、分裂や融合を介してその形態を変化させる。このミトコンドリアの形態変化はミトコンドリアの機能と密接な関係があることが示唆されている。このミトコンドリア動態を制御する因子をノックアウトしたマウスは正常に発生しないことが報告されているが、ミトコンドリア動態制御因子による細胞の分化制御機構には不明な点が多く残されている。本研究では、ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御する機構の解明に取り組んだ。RNAシーケンス、siRNA、レンチウイルスベクターを用いた解析により、ミトコンドリア動態制御因子が褐色脂肪細胞の分化を制御する転写因子の活性化を制御することが見出された。さらに褐色脂肪細胞の分化を制御するミトコンドリア動態制御因子の機能ドメインを同定することできた。 今後、さらに研究を進め、特定の機能ドメインをターゲットとした低分子化合物を用いることで、褐色脂肪細胞の活性化を促すことが期待される。本研究で得られた知見は、褐色脂肪細胞の活性化を介した抗肥満効果を持つ予防・治療薬の創薬に発展する可能性がある。これにより、肥満や関連する代謝疾患に対する新たな治療アプローチの確立、そして健康寿命の延伸に寄与することが期待できる。
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