2021 Fiscal Year Research-status Report
感覚受容細胞と神経のコミュニケーションによる感覚器再生メカニズムの解明
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21K06189
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
秋山 隆太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00790403)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感覚器 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は感覚器を通じて環境からの刺激を受容し、適切に行動する。ヒトでは傷害された感覚細胞は殆ど再生しないが、ゼブラフィッシュの感覚細胞は再生される。このとき、再生された感覚細胞は正しい神経投射を受け機能的な再生を遂げる。感覚細胞は神経と接続して初めて機能するので、感覚細胞の再生過程は神経と協調していると考えられる。しかし、これまで解析された感覚細胞の再生メカニズムでは感覚細胞の分化に焦点があてられており、感覚細胞再生と神経投射との相互作用については十分に解明されていない。本研究ではゼブラフィッシュ側線感覚器をモデルとし、感覚細胞と神経とのコミュニケーションに注目する。イメージング技術を駆使して、ゼブラフィッシュ側線感覚器の再生過程における感覚有毛細胞と神経との協調を解析することで、側線感覚器が機能的な再生を果たすメカニズムの解明を目指す。 感覚有毛細胞と側線神経との協調を仲介する因子として、本研究では側線感覚器の支持細胞が分泌する線維芽細胞増殖因子に着目している。この因子はパラクラインに働き有毛細胞の分化を負に制御することが知られているが、本研究では特に有毛細胞再生時の神経投射における役割について解析する。本年度は側線感覚器で発現する2つの線維芽細胞増殖因子についてノックアウトゼブラフィッシュの作製を行った。これまでにCRISPR/Cas9システムを用いてそれぞれ2系統のノックアウトゼブラフィッシュが得られた。現在、有毛細胞および側線神経を蛍光タンパクで可視化できるトランスジェニック系統との交配を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたノックアウト系統を得る事ができた為、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
線維芽細胞増殖因子のノックアウト個体で有毛細胞および側線神経を蛍光タンパクにより可視化し、有毛細胞再生時の神経投射における役割について解析する。
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Causes of Carryover |
目的のノックアウト系統を得る為のスクリーニングが予定よりも小規模で済んだことにより未使用額が生じたが、解析対象の系統数は予定よりも増えたため、次年度のイメージング解析に係る試薬購入や動物維持に使用する。
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