2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06190
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70301140)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳発生 / 神経幹細胞 / 力学刺激 / 細胞増殖・分化 / 脳脊髄液 / 脳室内圧 / 細胞間張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳のサイズ決定の重要な要因となる神経幹細胞の増殖期から分化期のへの移行メカニズムの解明を目指し、発生期の脳室内圧に起因する力学的要因が、神経幹細胞における増殖の時間的制御に果たす役割とその機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、本研究の核心である作業仮設の基盤となる脳室内圧の実測を最重要課題として挙げていた。そこで、本学自然科学研究科の中島雄太准教授との共同研究によって開発中のマイクロ流路を用いた微小圧力測定器を改良しつつ、マウス胚の脳室内圧の計測を行った。計測を重ねる過程で、1)脳室内に挿入するマイクロキャピラリーの毛細管現象に起因する測定値への影響、2)子宮内圧による脳室内圧への影響など、様々な問題が顕在化したため、それぞれ対処と測定法の改良につとめた。最終的に12.5日目マウス胚の脳室内圧の測定におよそ成功したと思われ、比較的バラツキのない測定値がえられるようになった。神経幹細胞の増殖に及ぼす力学的作用の影響とその分子基盤に関しては、トランスクリプトーム解析に必要となる検体を蓄積している。これらの成果を踏まえて、次年度以降の研究計画を鋭意行っていく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、神経幹細胞の増殖期から分化期への移行をカバーするE10からE15の各ステージでの脳室内圧を測定する予定であったが、技術的な問題により現在のところ1ステージのみの測定に留まっている。一方、神経幹細胞間の張力と増殖制御に関する実験については、E10.5のマウス胚の大脳より神経上皮のシートを切り出して、張力、および圧縮応力付加して培養した検体を収集した。これらの検体を用いてRNA-seq解析を行う計画である。また、脳室内圧を人工的に操作するための実験手法について検討を重ね、すでに施行した実験に加えてあらたに脳室内圧を上昇させる手法が判明した。さらに神経幹細胞間の張力を操作するパイロット実験に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
胚の脳室内圧の測定法をおよそ確立できたので、発生の各ステージで計測を行い、内圧の変化と神経幹細胞の張力、さらには増殖・分化期の移行との相関を詳細に見極める。また、この装置を用いて、カニクイザル胚、マーモセット胚、モルモット胚などでも計測を行い、種間の脳室内圧の比較にむけての準備を進める。力学的要因による増殖制御についても、計画どおりRNA-seq解析の結果を踏まえてin vivo実験を行い、増殖制御に至る分子メカニズムの解明を行う。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画にあったの脳室内圧の実測における技術的問題の解決に少々手間取ったため、他に計画していた実験を予定通り進めることができなかったため。残額については次年度に繰り越し、遅延している実験を速やかに遂行する予定である。
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Research Products
(5 results)