2021 Fiscal Year Research-status Report
Temporal Factorsが神経の運命を決定する分子基盤の理解
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21K06196
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 匠 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 助教 (30623764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DamID / 神経幹細胞 / ショウジョウバエ / 視覚中枢 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、DamID解析のために必要なTF-Dam系統の樹立を中心的な課題として取り組んだ。これまでに同定されているTFsのうち、Slp-Dam融合タンパク質を発現する遺伝子組換え系統の作出に成功した。 視覚中枢に存在する幹細胞プールをそれぞれ特異的に操作できる系統 GMR35AH02を用いてSlp-Dam融合タンパク質を発現させ、Slpの下流遺伝子を探索した。これと同時に、RNA ポリメラーゼII-Damを用いて、それぞれの幹細胞プールにおけるトランスクリプトーム解析を行い、Slpの下流遺伝子候補が実際に発現しているかどうかを確認した。 DamID解析の結果、Slpの下流で機能する遺伝子として数多くの候補が同定された。転写因子に注目するとdistal antennaと呼ばれる遺伝子の調節領域にSlpの最も強い結合が確認された。また、本研究で行ったトランスクリプトーム解析の結果から、distal antennaは神経幹細胞で発現していることがわかった。さらに、実際にGFP融合系統を用いて発現解析を行ったところ、Slp陽性神経幹細胞においてdistal antennaが発現していることを確認した。現在、GPCにおけるSlpの下流候補遺伝子の解析を進めており、GPCではdistal antennaの調節領域へのSlpの結合頻度が高くないことから、distal antennaはOPCで特異的なSlpの標的遺伝子であることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに作出したSlp-Damを用いて、Targeted DamID解析を行なっており、OPC特異的なSlpの標的候補遺伝子を同定している。標的遺伝子候補の中で、distal antennaと呼ばれる転写因子の調節領域において、Slpの結合が最も高頻度に見られた。GFP融合タンパク質を用いた発現解析から、Distal AntennaがSlp陽性の神経幹細胞で発現していることを確認しており、実際にSlpの下流で機能している可能性が考えられた。このように、DamIDの実施により、本研究の目標であるTFsの下流で機能する遺伝子の特定に大きく近づいた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、distal antennaの変異体、過剰発現系統を用いて機能解析を行い、実際にSlpの下流で機能していることを確認する。加えて、今年度の成果によって、distal antennaと類似した機能を持つことが知られているdistal antenna relatedもSlp陽性神経幹細胞で発現していることがわかった。これらの遺伝子は重複して機能している可能性があるため、二重変異体を作出して解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により所属研究期間が閉鎖された時期があり、当初の計画よりも研究のアクティビティが下がったため、本来必要とするはずの試薬を購入しなかったため残金が生じた。 次年度は、購入予定であった染色試薬を購入し、今年度行うはずであった抗体染色実験を行う。
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