2023 Fiscal Year Annual Research Report
Temporal Factorsが神経の運命を決定する分子基盤の理解
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21K06196
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 匠 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30623764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経数 / JAK-STAT / ショウジョウバエ / 視覚中枢 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、dan, danrの二重変異体の作出に注力したが系統に樹立には至らなかった。並行して進めていた「神経細胞数を規定する分子機構」において進展が見られた。これまで、後部に存在する神経幹細胞プールにおいて、BMPシグナルを抑制すると生み出される神経細胞数が激減することがわかっていたが、BMPシグナルを増強しても神経細胞数に変化が見られないために、別のシグナル経路の関与が示唆されていた。予備実験から候補として見出されていたJAK-STATシグナルについて詳細な解析を加えた。まず、予備実験の結果を確認するため、後部神経幹細胞プールにおいて、JAK-STATシグナルの代表的な活性化因子であるupd1を過剰に発現させたところ、予備実験の結果通り、後部由来の神経細胞が爆発的に増加した。これに加えて、グリア細胞の減少も認められた。次に、実際に後部神経幹細胞において、JAK-STATシグナルが活性化していることを確認するため、活性化マーカーであるSTAT-GFPを用いて検討した。その結果、後部神経幹細胞プールを取り囲むグリア細胞においてのみ、STAT-GFPのシグナルが確認された。また、upd1の受容体であるDomelessの発現パターンを検討したところ、やはり後部領域において発現が確認された。後部領域において、domelessの発現を抑制した場合、BMPシグナルを抑制した場合と同じように、後部由来の神経数が激減した。さらに、JAK-STATシグナルの抑制因子であるSOCS36Eを過剰発現させた場合にも、同様に後部由来の神経数が減少した。以上のことから、後部神経幹細胞プールが生み出す神経数の調節にはJAK-STATシグナルが中心的な役割を果たすことを示唆する結果を得た。
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