2021 Fiscal Year Research-status Report
発光タグHiBiTの高機能化・多機能化を通した新規発生遺伝子解析手法の確立
Project/Area Number |
21K06202
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
蒲池 雄介 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (90263334)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | タギング |
Outline of Annual Research Achievements |
モデル動物におけるゲノム編集技術を用いたノックアウトやノックインによる遺伝子機能の解明が進展しているが、タグの挿入のようなゲノム編集ラインの確立は時間を要するステップである。したがって、一つのペプチドタグを高機能化・多機能化できれば、実験目的ごとのノックインやノックアウトの必要性を低下させ、研究の迅速化につながることが期待される。したがって、本研究は、発光タグHiBiTの高機能化・多機能化を通して遺伝子機能の解析の高度化・迅速化をもたらす方法を開発し、これをゼブラフィッシュ胚発生過程における転写因子の研究へと応用することを目的として実施する。 HiBiTタグは、NanoLucの2断片(HiBiTとLgBiT)の相補に基づく発光検出が可能なタグとして開発された11アミノ酸からなるペプチドタグであるが、両者は高い親和性で相互作用し得るため、アフィニティタグとしても利用できる可能性がある。まず、HiBiTをLgBiTとの相互作用のみに基づいて検出可能かどうかを調べるため、LgBiTをビオチン化することを試みた。このため、まず大腸菌で任意のタンパク質にビオチンを付加できるベクター系を構築した。このシステムを用いてビオチン化LgBiTの調製条件を検討した。さらに、HiBiTとLgBiTの相互作用をin vivoで利用することが可能かどうかを調べた。これため、HiBiTタグを付加した緑色蛍光タンパク質GFPとF-boxを融合したLgBiTを用意し、両者を同時にゼブラフィッシュ胚で発現させ、HiBiTとLgBiTの相互作用を通してGFPのタンパク質分解が生じるかを調べた。その結果、両者の相互作用に依存したGFPの蛍光消失が観察できたことから、HiBiTとLgBiTの相互作用を胚内で利用できることが示唆された。この結果は、同時にHiBiTタグを分解タグとして利用するプロテインノックダウン法が可能であることも示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュの胚内でHiBiTとLgBiTの相互作用に基づいたHiBiTタグの利用が実現可能なことを示唆する実験結果を得ることができており、今後の実験計画は予定通りに進むことが予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
ビオチン化LgBiTを利用したin vitroにおけるHiBiTタグの検出法を確立する。また、F-boxを融合したLgBiTを利用したタンパク質分解系が内在のタンパク質のノックダウンに利用できるかを調べる。
|