2022 Fiscal Year Research-status Report
Plant genome plasticity resulting from the alteration of the M phase checkpoint
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21K06215
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小牧 伸一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50584588)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | M期チェックポイント / CPC複合体 / ゲノム倍加 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、ゲノムの安定化に関わるM期チェックポイントの主要制御複合体の1つであるCPC複合体に注目し、その機能の解析を進めてきた。昨年度までに、動物のCPC複合体のキネトコア局在を司るSurvivinの機能的ホモログを植物においてはじめて同定し、BORI1とBORI2と名付けた。 本年度は、このBORIsの更なる機能解析を行った。まず、BORIsのノックアウト植物体は他のCPC複合体構成因子のノックアウト植物体と同様に、致死であることがわかった。そこで、BORIsの発現抑制個体を作製したところ、細胞分裂時に異常な染色体分離が起こり、ゲノムが不安定になっていることが明らかとなった。この結果は、CPC複合体が植物においてもSAC複合体と共にM期チェックポイントとしての機能を持つことを示唆する。次に、BORIsタンパク質の起源に迫ることとした。通常のBLAST解析ではSurvivinとの共通性は見いだせないものの、隠れマルコフモデルを用いた相同性検索により両者の持つヘリックス領域は、もともと同一のタンパク質に由来することが判明し、また初期の真核生物はこのヘリックスのみから構成されたタンパク質を保持していたことがわかった。そして、その後の進化の過程で、各生物群において異なるヒストンリン酸化認識ドメインが付加されるという収斂進化が起こったことが明らかとなった。これにより、これまでBIRドメインを持つことが特徴であると考えられていたSurvivinの本体が、ヘリックス領域であると再定義することが可能となり、酵母や動物、そして植物以外の生物にもSurvivin/BORIに属するタンパク質が普遍的に保存されていることを発見するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物におけるCPC複合体のキネトコア局在機構を明らかにすることが出来たことから、当初予定していた実験計画は、おおむね完了することができた。また、研究結果を論文として発表することも達成したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
継続的なストレス条件下でのM期チェックポイントの解除に、CPC複合体が関わっているかを調べる必要があるが、CPC複合体因子の完全なノックアウト植物体は致死であるため、解析が困難な状況にある。そこで現在、安定してCPC複合体因子がノックダウンされた状態にある個体を用いた解析を試みている。また、M期チェックポイントの監視対象であるキネトコアは、ゲノム倍加と深くかかわる構造体であるが、その構成因子は植物ではまだほとんどわかっていない。今後の研究では、植物キネトコアに関する実験も展開する予定である。
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Causes of Carryover |
シャーレやチップなどのプラスチック用品の使用が予想より抑えることが出来たため、若干の繰越金が生じた。繰り越し分は、ジェノタイピングに必要な酵素の購入に使用する予定である。
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