2022 Fiscal Year Research-status Report
高温障害に応答する新たなチラコイド膜品質管理システムの解明
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21K06221
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
加藤 裕介 摂南大学, 農学部, 講師 (10437569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葉緑体 / チラコイド膜 / タンパク質分解 / 高温ストレス / FtsH |
Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体のチラコイド膜に局在し、FtsHプロテアーゼはこれまでに損傷した光化学系II反応中心タンパク質D1の分解を担い、膜タンパク質の品質管理を行うことが知られている。高温下でのチラコイド膜タンパク質の品質管理機構及び葉緑体の熱ストレス応答機構については未だ知見が少ない。FtsHは大腸菌の高温感受性変異株から同定されており、植物ミトコンドリアにおいても高温ストレスとの関連が示唆されていることから、葉緑体においても高温ストレスに関与する可能性が考えられ、本研究では高温ストレスに対するFtsHの機能解析を進めている。 高温ストレス下でシロイヌナズナ芽生えは、胚軸や葉柄の伸長といった熱誘導性形態形成を示すが、ftsH5変異体(var1-1)ではこれら熱誘導性形態形成の不全が認められた。しかし、ftsH5の別アリルの解析では、ftsH変異体が示す斑入り表現型が増強したものの、熱誘導性形態形成の不全は認められなかったことから、var1-1変異体で生じた他の変異が原因である可能性が考えられた。このため、今年度はvar1-1変異体のゲノム配列のリシーケンスを行った。その結果、var1-1変異体ではFtsH5の変異以外に複数の遺伝子の変異が示唆されたが、これらの中にこれまでに熱ストレスとの関連が示されたものは含まれておらず、引き続き原因遺伝子を探る必要があった。またvar1-1とLerを掛け合わせたF1およびF2系統の表現型の分離比から、この変異が潜性のものであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ftsH変異によると思われた熱誘導性形態形成の不全と熱ストレス耐性の低下が、他の変異による可能性が考えられた。このため原因遺伝子を再度検討する必要性が出た。このため当初の計画から進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、チラコイド膜FtsHの熱ストレスへの関与の有無を明確にしていく。熱ストレスへの異常を示す原因遺伝子を同定していく一方で、TypeA型FtsHが熱ストレス条件下、従来のTypeB型FtsHとは別に機能する可能性についても解析を進める。この他、葉緑体に局在する他のFtsHが高温ストレスに何らかの関与を示すか、これまで解析の進められていないFtsH7やFtsH9といったホモログも視野にいれて、それらの生理的解析を行なっていくことを予定している。
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