2023 Fiscal Year Annual Research Report
緑藻メソスティグマのユニークな光防御機構の解析―淡水性緑藻から陸上植物へ
Project/Area Number |
21K06224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高林 厚史 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90546417)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱放散機構 / PsbS / 緑藻 / 光化学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
PsbSタンパク質は植物における熱放散の主要な調節因子であるが、緑藻はLHCSRタンパク質を熱放散の主要な調節因子として用いており、緑藻でのPsbSタンパク質の機能は明らかになっていない。本研究では緑藻のPsbSタンパク質が植物体内で植物のPsbSタンパク質と同等の機能を持つかどうかを調べるために、緑藻のPsbS遺伝子をシロイヌナズナのnpq4株(PsbS欠損株)に導入し、その表現型を調べた。今年度は前年度までに作成した、3種類の緑藻のPsbS遺伝子およびシロイヌナズナのPsbS遺伝子を導入した4種類の形質転換体を用いて、熱放散とPsbSタンパク質の蓄積量の量的関係性について解析した。その際、熱放散の指標としてはNPQもしくはqEを用いた。また、PsbSタンパク質の蓄積量を見積もるために、Anti-FLAG抗体を利用したImmunoblot解析を行った。その結果、形質転換体におけるPsbSタンパク質の蓄積量辺りの活性は緑藻とシロイヌナズナで大きな差はなかった。つまり、緑藻のPsbSタンパク質は、シロイヌナズナにおいて、植物のPsbSタンパク質と同等の熱放散誘導能を示すことが明らかになった。この結果は意外なものであり、現在論文投稿の準備中である。
また、メソスティグマの光化学系Iおよび光化学系IIの構造解析に関しては、ショ糖密度勾配遠心法で精製したサンプルを用いて共同研究によるCryoEM解析を行い、現在EM密度マップ、および、暫定的な原子モデルが得られている。これについては、現在さらなる解析を進めるとともに、論文投稿の準備を進めている。
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