2022 Fiscal Year Research-status Report
植物の進化初期に派生した単一 LRR 受容体が制御する細胞内情報伝達の解明
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21K06226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 哲弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90727702)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 受容体 / シグナル伝達 / シゾン |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は、独自の細胞膜受容体タンパク質を数多く持ち、外界からのシグナル分子を受容・応答する細胞内情報伝達機構を確立することで、生息環境へと適応してきた。高等植物は、主にLeucine-rich repeats (LRR)受容体ファミリーを用いて多様なシグナルを受容する。本研究では、単細胞紅藻シゾンがもつ、(1)単一LRR受容体のタンパク質機能と構造の解明、(2)受容体-リガンドが制御する細胞内情報伝達機構の解明、(3)シグナル伝達ダイナミクスの解明を目的とする。本年度は前年度に引き続き、LRR受容体の立体構造解析・生化学的解析に向けたタンパク質の発現・精製方法の再検討を行った。これまでに利用していたカイコ幼虫を用いたタンパク質発現系では発現実験ごとに不安定な結果が多く生じたため、昆虫培養細胞-バキュロウィルス発現系によるタンパク質発現をあらたに試みた。その結果、タンパク質結晶化スクリーニング、生化学的解析に十分な品質のタンパク質を各ドメインについて得ることができた。今後は、各ドメインのタンパク質結晶化スクリーニングに取り組むととともに、細胞外ドメイン全長タンパク質の電子顕微鏡単粒子解析試料の調整方法の検討を行っていく予定である。そしてin vitroタンパク質間相互作用解析に向けて、LRR受容体、共役受容体候補タンパク質群のタンパク質試料の調整方法と実験系の検討を行った。また、in vivo機能・局在解析のために、受容体と共役受容体候補について蛍光タンパク質タグ導入株の作出準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LRR受容体遺伝子ノックアウト株、発現抑制株の作出に遅れがみられ、in vivo機能解析の遅延が生じた。また、組換えタンパク質の調整法においても、カイコ幼虫を用いた発現系では安定した結果が得られなかったため、タンパク質発現系の再検討が必要となった。昆虫培養細胞を用いることで安定した結果が得られるようになったことから、タンパク質結晶化スクリーニング、電子顕微鏡解析試料の調整に向けた準備を進めている。そして、共役受容体候補タンパク質の生化学的スクリーニングにむけた実験手法準備も進められたことから、次年度にはin vitroタンパク質間相互作用解析を中心とした生化学的解析を進める準備はできたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
シゾンがもつ単一LRR受容体は複数のドメインをもつことから、各ドメインのタンパク質立体構造解析に加えて、in vivo機能解析も詳細に調べていくことで、構造と機能の関連性を明らかにする。蛍光タンパク質タグ導入株の局在解析により、LRR受容体のシグナル伝達ダイナミクスも調べていく。また、in vitro, in vivoにおけるタンパク質間相互作用解析により、LRR受容体に対する共役受容体、細胞内相互作用因子の同定を目指す。以上の解析を通じて、LRR受容体の構造と分子ダイナミクスの知見を統合し、シグナル伝達の分子作用機序の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度では、タンパク質結晶化スクリーニング、in vitroタンパク質間相互作用解析にむけた消耗品の購入費用が必要になると見込んだため、予算の一部を繰り越した。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 植物の配偶子誘引における多様なメカニズム2023
Author(s)
奥田 哲弘, 外山 侑穂, 八廣 遥斗, 渡部 八雲, 松田 直大, 長江 拓也, 砂川 勇太, 須田 崚, 金 星月, 鈴木 孝征, 東山 哲也
Organizer
第64回日本植物生理学会年会