2023 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞壁形成における細胞内膜系オルガネラの形態制御
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21K06229
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
國枝 正 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90566077)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内膜系オルガネラ / 膜交通 / 細胞壁 / ペクチン / ユビキチンE3リガーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞壁は、個々の細胞、ひいては個体の形態を制御する植物細胞にとって必要不可欠な構造体である。細胞壁の構成成分の多くは細胞内のゴルジ装置で合成され、内膜系オルガネラによる膜交通によって細胞膜外へと輸送されることから、細胞壁構成成分のオルガネラ内における滞留等が内膜系オルガネラの形態に作用する可能性がある。本研究では、細胞壁形成に関与するユビキチンE3リガーゼを解析の核として、内膜系オルガネラの形態制御メカニズムの解明を目的とする。 昨年度までの解析において、ユビキチンE3リガーゼのドメイン変異型と蛍光タンパク質の融合タンパク質の一過的な発現によって細胞内で肥大化した構造体が形成されることを明らかにした。一方、蛍光タンパク質がもつ二量体化の性質によって膜構造異常を引き起こすことが報告されており、細胞内での肥大化構造体の誘導が蛍光タンパク質融合による可能性が考えられた。当該タンパク質に融合させる蛍光タンパク質をペプチドタグであるFLAGに変えた形質転換体を新たに作出して検証したところ、蛍光タンパク質と同様に肥大化構造体が観察された。この結果は、当該E3リガーゼそのものの機能がオルガネラの形態維持に関与していることを示している。また、免疫沈降-質量分析によって同定した相互作用因子候補の局在から、当該E3リガーゼがゴルジ装置のシスゴルジ槽において機能することが示唆された。その検証のため、本年度の解析において当該E3リガーゼと同じ細胞で共発現し、かつシスゴルジ槽において機能する細胞壁成分の合成酵素遺伝子を特定した。この遺伝子を含め、後期エンドソーム等の各種内膜系オルガネラの蛍光可視化マーカーの作製を新たに行った。当該ユビキチンE3リガーゼの内膜系オルガネラ動態への影響を生細胞で検証するため、それらマーカーについてFLAGラインや遺伝子欠損変異体に導入し、その解析を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の核因子であるユビキチンE3リガーゼの機能不全によって引き起こされる細胞内肥大化構造体の異常形成について、融合させた蛍光タンパク質の性質に起因する可能性が示唆された。この可能性の検証のために当初の計画にはなかった解析を追加したことと、各種内膜系オルガネラの動態解析をより詳細に行うために蛍光可視化マーカーを新たに複数作製し、それらに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該ユビキチンE3リガーゼの機能を解析するための形質転換体の整備がほぼ完了したので、それらを用いた内膜系オルガネラの動態解析等を進める。また、ユビキチンE3リガーゼとの相互作用候補因子について、細胞壁形成や内膜系オルガネラ形態制御への関与を局在解析や変異体を用いた機能解析を完了させる。
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Causes of Carryover |
形質転換体の追加作出や表現型解析に時間を要したことから本年度に実施予定であった解析のすべてを終えることができなかったことが次年度使用額が生じた理由である。次年度使用額は、本年度に実施できなかった計画実験に使用する試薬等の購入や本研究の成果発表のために使用する。
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