2021 Fiscal Year Research-status Report
寄生植物ネナシカズラの宿主依存的道管新生と連結に必須の宿主因子の同定
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21K06235
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
西谷 和彦 神奈川大学, 理学部, 教授 (60164555)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ネナシカズラ / 吸器 / 寄生 |
Outline of Annual Research Achievements |
絶対寄生植物であるアメリカネナシカズラは、茎で宿主の茎に巻き付くと、数日内に皮層組織から吸器と呼ばれる分裂組織が新生し、その最外層の細胞列から探索糸と呼ばれる細胞が分化し、伸長して宿主組織に向かって伸長し、宿主内に侵入し、宿主維管束内に到達すると、道管に分化し、最終的に宿主道管と連結し、寄生が成立することが形態学せきに古くより知られているが、その分子過程は今尚、ほとんどが未解明である。我々は、探索糸が 宿主由来の未同定の信号に依存して道管に分化し、宿主道管に連結すること を最近見出した。 本研究の最終目的は、これまでの知見を基に、宿主由来の未知の信号(宿主因子)を同定し、寄生植物が宿主に「非特異的」でありながら、宿主由来の信号に「依存的」に道管を分化させ、連結する一連の制御過程を解明することである。 本研究の最終目的である因子探索のためには、再現性の良い吸器誘導系が必要である。そのために、実験ノイズを極限まで軽減し、解析精度を上げるために、吸器誘導に最も影響の強いことが知られている光質の影響を最初に評価することから始めた。その結果、大変意外なことに、吸器誘導に対する青色光、赤色光、遠赤色光の作用が、これまでの定説とは異なることを見出した。更に、定説と我々の結果との違いは、これまでの研究で用いられてきたアメリカネナシカズラの発生段階が、統一されていなかった事に因ることも明らかにした。この結果は、吸器形成という発生過程が、吸器を発生するアメリカネナシカズラの発生過程に依存するという、至極当然のことではあるが、これまでアメリカネナシカズラで見落とされていた重要な事であるので、この現象の解析を中心に進めた。これまでの研究成果は、現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカネナシカズラの吸器形成に及ぼす光の作用について、これまでの定説とは異なる新しい知見を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に見出した知見を元に、研究計画を少し修正しながら、最終的には当初の目的を達成するように進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度の研究開始に先立って進めた解析により、当初の研究計画を後回しにしたことと、学会発表が遠隔となり出張旅費が不要となったため。
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