2022 Fiscal Year Research-status Report
褐色脂肪特異的に発現する細胞表面分子Eva1の機能解析
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21K06240
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
孫 ユリ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (10605306)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞表面分子 / 脂肪組織リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はEva1 KOマウスを用いた個体レベルの解析とともに、脂肪組織におけるEva1の機能解析を行うための実験系を確立し、Eva1有無が老化や肥満に伴う脂肪組織のリモデリングに及ぼす影響について検討した。これまで多くの研究グループによる遺伝子発現解析からEva1はマウスの肩甲骨に分布する褐色脂肪組織において特異的に高く発現する遺伝子として認められているが、皮下と内臓の白色脂肪組織においても低レベルのEva1が発現していることから、性質の異なる3ヶ所の脂肪組織、肩甲骨の褐色脂肪、鼠径部の皮下脂肪、内臓脂肪を解析対象とした。脂肪組織は実質細胞である脂肪細胞と、血管構成細胞、線維芽細胞、免疫担当細胞などの間質細胞で構成されており、肥満や老化に伴い間質細胞の構成成分が大きく変化する。肥満による脂肪組織のリモデリングでは、脂肪細胞のサイズの肥大化(hypertrophy)と細胞数の増加(hyperplasia)により、脂肪蓄積量を増やしていく。特に、肥大型の脂肪組織では、TNFαやIL-6といった炎症性サイトカインが増える一方、アディポネクチンなどの抗炎症性サイトカインは減少し、マクロファージなどの免疫細胞の浸潤、血管新生、間質の線維化が観察される。そこで、肥満誘導モデルと若齢期-中年期-老齢期におけるWTとEva1 KOマウス脂肪組織の形態的変化を比較した。また、脂肪組織における褐色化・白色化、老化進行、脂肪代謝に関連する遺伝子群の網羅的発現解析(3'mRNA-Sequencing)と、脂肪組織が分泌する炎症性因子と抗炎症性因子(adiponectin, IL-10)の測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Eva1 KOとWTマウスの表現型解析と脂肪組織の遺伝子発現解析により、Eva1作用の主要標的を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
Eva1作用の分子基盤を明らかにすることを目的とし、Eva1の標的細胞と鍵分子の決定を試みる。
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