2023 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪特異的に発現する細胞表面分子Eva1の機能解析
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21K06240
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
孫 ユリ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (10605306)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪組織機能異常 / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内の余分なエネルギーを蓄積する白色脂肪に対して、褐色脂肪は熱を産生しエネルギーを消費する。褐色脂肪細胞はミトコンドリア脱共役タンパク質であるUcp1(uncoupling protein 1)を発現しており、Ucp1の活性化による熱産生が全身エネルギー消費を亢進させることで肥満を防止する。代謝活性のある褐色脂肪は老化と肥満に伴いその機能が低下することから、褐色化誘導メカニズムは老化や肥満から生じる代謝異常症に対する新たな予防・治療の標的として注目されている。 一回膜貫通型膜タンパク質であるEpithelial V-like antigen 1(Eva1)はマウスの肩甲骨に存在する古典的褐色脂肪細胞において特異的に発現しており、ヒトにおいても頚部と副腎周囲の褐色脂肪細胞での発現が確認されているが、Eva1に焦点を当てた脂肪細胞の研究は行われていない。 本研究ではEva1欠損マウスを用いた個体レベルの解析とともに、Eva1の機能解析を行うためのin vitro実験系を用い、Eva1が褐色脂肪細胞においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的とした。マウス脂肪組織におけるEva1発現を調べたところ、褐色脂肪のみならず、皮下と内臓の白色脂肪でもEva1発現が認められた。Eva1は脂肪組織の実質細胞である脂肪細胞において主に発現しており、前駆脂肪細胞ではほとんど検出されないが成熟脂肪細胞への分化に伴い発現が増加した。以上の結果を踏まえて、Adiponectin-CreマウスとEva1-Floxedマウスを用い、脂肪細胞特異的にEva1を無くしたマウスを作製した。高脂肪食誘発肥満モデル(High-fat diet-induced obesity)を用い、全身Eva1欠損マウスと脂肪細胞特異的Eva1欠損マウスにおける肥満やインスリン抵抗性の発症程度を比較した。
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