2021 Fiscal Year Research-status Report
メダカ椎間における硬節細胞の多分化能の検証とWntによる未分化性維持機構の解析
Project/Area Number |
21K06245
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪早 敬二 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70302958)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | メダカ / 硬節細胞 / Wnt / 骨芽細胞 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
メダカ脊椎の椎間領域(椎間板に相当する組織)は骨成長の場であると共に、硬節に由来する骨芽細胞の前駆細胞が未分化の状態で維持されていると考えられる。これらの硬節由来細胞の未分化性の維持には、Wntファミリーに属する遺伝子、wnt4bが必須であることがメダカ変異体の解析で分かった。本研究では、硬節由来細胞の分化を制御する分子カスケードを明らかにするとともに、椎間域の硬節由来細胞の多分化能の有無についても精査することを目的としている。初年度ではまず、硬節マーカー遺伝子のプロモーター制御下で、Creリコンビナーゼを発現するトランスジェニックメダカ系統の作製を試みた。CRISPER/Cas9システムを用いたゲノム編集技術により、Cre遺伝子を硬節マーカー遺伝子のプロモーター下流にノックインすることで作製に成功した。これらのCre系統とloxPメダカ(Creが発現した細胞で蛍光タンパク質を発現誘導するトランスジェニック系統)とを交配することで、硬節由来細胞を蛍光標識して追跡観察することが可能となる。そこで次に、骨芽細胞で特異的に発現する遺伝子のプロモーター制御下で普段はDsRed、Cre存在下でEGFPを発現誘導するloxP系統も作製した。これらのCreメダカとloxPメダカとを交配し、硬節細胞が骨芽細胞へと分化するか否かを調べたところ、骨芽細胞の一部がEGFP陽性細胞であることが確認できた。この結果は、作製されたCre-loxPシステムが有効であることと共に、メダカの硬節細胞が骨芽細胞へと分化していることを強く示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、硬節由来細胞の分化を制御する分子カスケードを明らかにするとともに、椎間域の硬節由来細胞の多分化能の有無についても精査することを目的としている。初年度では、本研究を推進するために必要な複数のトランスジェニック系統の作製に成功することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本研究を遂行するために必要なトランスジェニックメダカを作製し、系統化を行う予定である。また系統化されたトランスジェニックメダカを用いて、硬節由来細胞の追跡実験を行うことで、多分化能の有無を明らかにする。さらに、メダカ変異体と野生型でRNAシーケンシング解析を行い、硬節由来細胞の分化に関与する候補遺伝子を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、主に本研究を遂行するために必要なトランスジェニックノックメダカの作製とその系統化を行った。そのため、高価な遺伝子クローニング関連のキットなどの購入の必要が当初の予定ほどではなかった。また、所有していた顕微鏡用のデジタルカメラに不具合が生じたため、急遽購入を検討したが、欧州における諸事情により、当該年度中の輸入が不可能となり、結果として当該助成金が生じることとなった。 本年度の助成金は、主に遺伝子受託解析サービスの利用に使用する予定である。また顕微鏡用のデジタルカメラの購入を予定している。
|