2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of common regulatory mechanisms of behaviour in vertebrates by functional analysis of PACAP with genome-editing technology.
Project/Area Number |
21K06246
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中町 智哉 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (30433840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 恒平 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (60222303)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PACAP / ゼブラフィッシュ / 行動解析 / 記憶学習 / 社会性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では真骨魚類特異的ゲノム重複により重複化したPACAPまたはPAC1-R遺伝子について、遺伝子改変技術などを用いて行動生理学的な解析を行うことにより、脊椎動物の動作基盤を解明することを目的として研究を進めている。これまでにCRISPR/Cas9法を用いて、PACAP1およびPACAP2 KOゼブラフィッシュ、PAC1a-RおよびPAC1b-R KOゼブラフィッシュ系統の作出に成功した。これらのうち、PACAP2 KOゼブラフィッシュではホモ型個体で高い死亡率を示すことが明らかとなった。しかし、その原因についてはいまだ不明である。残り3種の系統のホモ型に関しては、成魚まで得られたことから野生型ゼブラフィッシュとの比較により様々なPACAP/PAC1Rの機能解析に使用可能である。 PACAPと記憶学習行動との関係性について、ゼブラフィッシュ(zf)PACAP1またはzfPACAP2の腹腔内投与後の短期記憶および長期記憶への影響を評価した。zfPACAP1投与はY字迷路学習を用いた短期の空間認知機能を増強させたが、zfPACAP2投与では効果が見られなかった。一方、T字型迷路を持ちいた長期の空間認知記憶はzfPACAP2投与により増強したが、zfPACAP1投与では増強しなかった。これらの結果から、重複化したzfPACAPは短期と長期の記憶の制御を分担している可能性が示唆された。また、社会性行動の評価系を用いた実験により、PAC1a-R KOに加えてPAC1b-R KOでも群れへの接近行動の減少(社会性行動の減少)が認められた。さらにzfPACAP1またはzfPACAP2の腹腔内投与により、社会性行動が増加することが示され、この行動はPAC1-Rアンタゴニストの共投与により抑制されたことから、PAC1-Rを介して社会性行動を制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PACAP投与実験が順調に進んでおり、記憶学習および社会性行動に関してはデータが集まっている。一部はKOゼブラフィッシュの解析も進んでおり、重複したPAC1-Rによる行動制御機構の解析も予定通り進んでいる。また、RNAシークエンス解析も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに行動解析を進め、さらにPACAP/PAC1-Rシステムとストレス応答との関係性を明らかにしていく。現在進めているRNAシークエンス解析の結果を基にして、PACAPの下流シグナル/関連因子の同定と、その機能解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はRNAシークエンス解析の結果の取りまとめが間に合わなかったため、次年度以降に解析の結果を得た後の実験を行う。
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Research Products
(8 results)