2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K06247
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂本 勇貴 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (00735483)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セントロメア / 核ラミナ / 核構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAは細胞核の中に無秩序に詰め込まれているのではなく、特定のゲノム領域が決められた核内の場所に配置されるように制御される。これは効率的な遺伝子発現や複製、DNA損傷修復につながると考えられる。特に核を包んでいる核膜は、特定のDNAの位置を決める際の足場となる。被子植物のモデル植物であるシロイヌナズナではセントロメア(細胞分裂時に染色体を娘細胞に均等に分配するために、紡錘体微小管と染色体を繋ぐ装置を形成するゲノム領域)が、核膜直下に局在することが知られている。私はシロイヌナズナの核ラミナ構成タンパク質CRWNsの二重欠損株crwn1crwn4において、セントロメアの核内動態が異常になることを発見した。本研究ではシロイヌナズナを用いて、セントロメアが核内に適切に配置されるために必要な分子機構を明らかにする。 本年度は核膜孔複合体の構成因子がセントロメアの配置制御に関わることを明らかにした。これらの因子の変異体ではセントロメアが核膜上で偏在する。この表現形はコンデンシンII変異体と同様であった。一方で、crwn1crwn4の表現形とは異なりセントロメアは核膜上に固定され、その動態は正常であった。共免疫沈降法により核膜孔複合体と核膜内膜タンパク質が結合することも明らかにした。以上の結果より、核膜孔複合体がコンデンシンIIおよび核膜内膜タンパク質と共にセントロメアの配置制御に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セントロメアの配置を制御する新たな因子として核膜孔複合体を同定できたため、その点は順調に進展している。一方で、核膜孔複合体はCRWNsとともにセントロメアの動きを制御する因子ではなかった。そのため、CRWNsと協調してセントロメアの動きを制御する因子を特定することが残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
セントロメアの動きを制御する因子の特定を目指す。 1. CRWNsを用いたIP-MSの結果をもとに絞り込んだ候補遺伝子の遺伝子欠損株のスクリーニングを行う。 2. スクリーニングにより特定された遺伝子の細胞内局在解析とCRWNsとの相互作用解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度4月より所属研究室が変更となったため、実験スペースの確保、研究機材の移動に時間がかかり、研究計画に遅れを生じたため。次年度の予算は、分子生物学実験用の消耗品およびイメージング用消耗品の購入に使用する。
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