2021 Fiscal Year Research-status Report
鰭(ひれ)の骨周囲スペースを制御する未知細胞の同定と機能解明
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21K06255
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
茶谷 昌宏 昭和大学, 歯学部, 講師 (80628628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 教授 (80307058)
畔津 佑季 昭和大学, 歯学部, 助教 (00812190)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メダカ / 鰭 / 破骨細胞 / 鰭条骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
個体の成長には、体内の器官同士が相対的なプロポーションを維持しながら大きくなる必要性を含んでいる。例えば硬組織の場合、硬組織の成長に従って周囲の軟組織が歪まないように同調して成長する。これを実現するために組織のリモデリングすなわち「作って壊すこと」が体の至るところで生じていると考えられるが、そのメカニズムの詳細は未解明である。申請者は骨を壊すことで知られている破骨細胞を蛍光タンパク質で標識した遺伝子組換メダカを作製し、鰭(ひれ)では破骨細胞マーカーを発現する細胞が骨組織以外の場に存在することを発見した。この細胞は骨に接着しておらず破骨細胞とは別の細胞と考えられた。申請者ははじめにメダカ孵化後0日後から孵化後10日まで経時的に観察することで発生過程に従って細胞の分布にパターンがあることを見出した。また、この細胞は鰭条骨と鰭条骨の間に局在していることから、骨の成長と関連している可能性が示唆された。さらに破骨細胞の細胞分化に関連する因子の遺伝子改変メダカを作製したところ、その細胞分化に変化が見られたことから、未知細胞は破骨細胞分化に酷似した分化過程を経ることが示唆された。次に特異的分子阻害薬を投与した結果、細胞の局在に変化が認められた。これは、未知細胞が特定の分子を通じて鰭の成長に重要な役割を担っていることを示唆しており、さらなる機能解明が必要である。この未知細胞の機能に異常をきたす実験モデルを構築し、その変化を調べる予定である。本研究を通して、硬組織の形態形成に関する新しい概念を構築し、将来的には関連する疾患などの原因解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メダカ発生期の経時的な観察から、申請者が発見した未知細胞についての局在位置、変化を明らかに出来ている。またその発現パターンからは発生学的に重要な役割をもつ細胞であることを示唆している。さらにこの細胞の遺伝子制御に関連するだろうと思われる遺伝子改変メダカを作製しており、未知細胞の細胞分化に変化が生じることを見出している。今後は組織学的な解析や遺伝子発現レベル等を解析することで、この未知細胞の詳細な役割の解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組織学的な解析や遺伝子発現レベル等を解析する。さらには未知細胞の役割を明らかにするために、未知細胞が機能していない実験系を作り(細胞の除去実験系の検討)、形態形成にどのような影響をもたらすのかを検討する。分子特異的標的薬を用いて分子レベルでの機能解析を試みる。実験結果をまとめ、論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大により、留学時期が遅延し、使用計画にズレが生じているが、本研究の遂行には問題ではない。研究自体は順調に進められている。 新規細胞の性質、機能解明に向けてより詳細に解析する。具体的には、特異的分子阻害剤を投与し新規細胞の変化を追跡する実験、遺伝子欠損メダカにおける新規細胞の細胞分化の変化を調べる解析、新規細胞を除去する遺伝子改変メダカの作製しその表現型を詳細に調べる解析、共焦点顕微鏡を用いた新規細胞の詳細な観察を行い、新規細胞の機能をより明らかにし、論文発表を計画している。
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[Journal Article] Findings from recent studies by the Japan Aerospace Exploration Agency examining musculoskeletal atrophy in space and on Earth2021
Author(s)
Satoshi Furukawa, Masahiro Chatani, Atsushi Higashitani, Akira Higashibata, Fuminori Kawano, Takeshi Nikawa, Takuro Numaga-Tomita, Toshihiko Ogura, Fuminori Sato, Atsuko Sehara-Fujisawa, Masahiro Shinohara, Toru Shimazu, Satoru Takahashi, Haruko Watanabe-Takano
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Journal Title
npj Microgravity
Volume: 7
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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