2021 Fiscal Year Research-status Report
Centrioleの自己複製における鋳型の意義の解明
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21K06257
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
広野 雅文 法政大学, 生命科学部, 教授 (10212177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 基底小体 / トリプレット微小管 / SAS-6 / Bld10p |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中心子(centriole)の形成における母中心子の鋳型としての意義を解明することを目的とする。具体的な方法として、1)中心子の微小管数が主に8本から10本にバラつくクラミドモナス突然変異株bld12が形成する母・娘中心子ペアのそれぞれの微小管数を計測すること、2)SAS-6とBld10pを遺伝子改変した株が形成する5-7本微小管の中心子を正常な細胞質中で複製させ、母・娘中心子ペアの微小管数を計測すること、を目指す。 1)については、厚切り樹脂切片の電子線トモグラフィーによって観察する予定だが、集束イオンビーム(FIB)加工を用いたトモグラフィーの作製も試みた。単離した中心子試料の表面をFIB加工してはSEM観察を繰り返し、TEMによる連続切片法と同様の連続画像を取得した(沖縄科学技術大学院大学、中澤友紀博士の協力による)。ここから三次元構造の再構成を試みたが、今のところ微小管の数が判別できる解像度は得られていない。今後、母・娘中心子の微小管数を観察できるように、観察方法を改良する予定である。 2)については、5-7本微小管の中心子を形成する突然変異株と野生型細胞を、有性生殖の接合現象を利用して融合し、実現することを計画している。2021年度は接合後の中心子を、中心子タンパク質SAS-6に対する抗体を用いて間接蛍光抗体法によって観察した。少なくとも接合後150分までは、融合細胞の中心子が観察可能であることがわかった。また中心子におけるSAS-6は融合細胞において野生型細胞と同様に動的であることもわかった。今後は同様の方法で、融合細胞における中心子複製の観察を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属する学部に導入される可能性のあった透過型電子顕微鏡が、導入に至らなかったため、別な方法(FIB-SEM)を試みるなどの試行錯誤が必要となったため、当初の予定よりも若干遅れることとなった。しかし母・娘中心子の微小管数を観察するというゴールに向けて進捗はしている。
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Strategy for Future Research Activity |
母・娘中心子の微小管数を判別できるように、FIB-SEMによって得られる三次元構造の情報の解像度を上げるべく改良を行う。また、厚切り樹脂切片のトモグラフィーが可能な電子顕微鏡が使用できるよう、協力先を探す。
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Causes of Carryover |
母・娘中心子の微小管数をFIB-SEMで行ったが、試料調製の費用とマシン使用の経費は、協力先が負担してくれた。そのため、厚切り樹脂切片の調製のための費用として計上した分が未使用となった。2022年度には厚切り樹脂切片の調製とその観察を行うため、この費用はそのために使用する予定である。
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