2023 Fiscal Year Annual Research Report
Centrioleの自己複製における鋳型の意義の解明
Project/Area Number |
21K06257
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
広野 雅文 法政大学, 生命科学部, 教授 (10212177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 基底小体 / トリプレット微小管 / SAS-6 / Bld10p |
Outline of Annual Research Achievements |
中心子(centriole)は、9回対称性の普遍的な構造をもつオルガネラで、増殖する細胞においては、新しい中心子(娘中心子)はほぼ必ず既存中心子(母中心子)の側面に形成される。この形成様式は進化の過程で高く保存されているが、その意義は不明である。本研究はその意義を解明するため、1)中心子の微小管数がバラつくクラミドモナス突然変異株が形成する母・娘中心子ペアのそれぞれの微小管数を計測する、2)微小管数が異常な中心子を正常な細胞質中で複製させる技術を開発することを目指した。 1)については、まず単離した中心子試料の表面をFIB加工してSEM観察を繰り返し、TEMによる連続切片法と同様の連続画像を取得したが(沖縄科学技術大学院大学、中澤友紀博士の協力による)、微小管数が判別できるほどの解像度の画像を得ることはできなかった。次に、膨張顕微鏡法によって微小管数を計測するため、固定や膨張の条件を試行錯誤した結果、娘中心子の微小管数を鮮明に観察することができるようになった。しかし、共焦点顕微鏡によるZ軸方向の解像度が低く、母中心子の微小管数と同時に観察するには至っていない。現在はさらに膨張率を上げるなどの改良が成功しているので、近いうちに両中心子の微小管数が計測できると期待している。 2)については、クラミドモナスの接合現象を利用して、遺伝子操作によって微小管数が異常になった細胞と野生型細胞を融合する方法や、クラミドモナスの中心子複製期の細胞質を調製して中心子のin vitro複製を目指したが、成功には至らなかった。 中心子複製における鋳型の意義の解明という当初の野心的な試みは、研究期間内には成功しなかったが、そのためのいくつかの重要な技術を確立することができた。近い将来にその端緒をつかむことできると期待される。
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