2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of evolutionary significance of vertebrate microchromosomes conserved for 400 million years
Project/Area Number |
21K06286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 好宣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60609717)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊椎動物 / 染色体進化 / マイクロ染色体 / 反復配列 / 両生類 / ツメガエル |
Outline of Annual Research Achievements |
爬虫類や鳥類、軟骨魚類は、マイクロ染色体と呼ばれる微小な染色体を多数もっているが、真骨魚類や両生類、哺乳類のほとんどの種はマイクロ染色体をもたない。本研究では、多数のマイクロ染色体を保持する脊椎動物種において、核内の染色体高次構造を明らかにするとともに、新たに単離したマイクロ染色体特異的に増幅する反復配列における詳細な比較解析を行うことで、脊椎動物のマイクロ染色体について重要な進化学的知見を提供することである。 3年目の昨年度では、四肢動物祖先から分岐したのちに独自にマイクロ染色体を消失した両生類のアフリカツメガエルにおいて、データベースにて公開されている全ゲノム情報を用いて、各染色体末端特異的な分布を示す反復配列の同定を試みた。さらに得られた情報を2年目に同定した近縁種のネッタイツメガエルとの比較を行った。その結果、ネッタイツメガエルではほとんどすべての染色体末端に増幅する反復配列が見られたのに対して、アフリカツメガエルではネッタイツメガエルの反復配列と相同性の高い配列は検出されず、それとは配列の異なる反復配列がごく一部の染色体のみに分布していたことが明らかになった。このツメガエル2種間において、大きな染色体構造や遺伝子シンテニーはほとんど起きていないことが知られているが、本研究から染色体末端の反復配列においては近縁種のツメガエル間で独自に変化していることが明らかになった。アフリカツメガエルでは独自に全ゲノム重複が起きているため、染色体末端特異的な分布を示す反復配列が全ゲノム重複を伴うサブゲノムの安定化に関与している可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり実施予定であった、サブテロメア特異的反復配列の同定に着手している。また進化の多様性の考察を充実させるため、計画段階よりも多くの脊椎動物種を解析対象としている。以上のことから、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を申請した段階より、数多くの高精度な全ゲノム配列が多くの脊椎動物種で報告されている。さらに想定以上にサブテロメア特異的反復配列は近縁種間でも大きく異なるため、今後より多くの種の全ゲノム情報を用いた解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を申請した段階より、数多くの高精度な全ゲノム配列が多くの脊椎動物種で報告されている。そこで、進化の多様性の考察を充実させるため、計画段階よりも多くの脊椎動物種を解析対象とした。その結果、これら多様な生物種の公開ゲノムデータを用いて、各染色体末端に特異的な分布を示す反復配列の同定作業に注力することになった。このように、総体としての研究は当初の計画を上回るペースで進捗しているものの、一方で予定していた培養細胞を用いた分子生物学的実験への着手が後れを取っている状況にある。それが原因で、当該実験に必要な試薬類の購入に充てる予算の執行が遅延している。
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