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2021 Fiscal Year Research-status Report

Systems understanding of developmental buffering and evolvability

Research Project

Project/Area Number 21K06287
Research InstitutionOchanomizu University

Principal Investigator

佐藤 敦子  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90589433)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords発生緩衝 / 進化可能性 / カタユウレイボヤ / 母性効果
Outline of Annual Research Achievements

生物の発生過程は、環境の影響などによらず安定していることが「発生緩衝」として知られているが、どのようにしてこのような安定性が得られるのかについては、まだ未解明の点が多く残されている。ホヤの一種であるカタユウレイボヤが、温度環境に対して非常に異なった応答性を示す2種以上の姉妹種に分化していることに着目し、これら2種の発生過程において、熱ストレス下でのトランスクリプトームデータを取得し、ネットワーク解析(Co-expression gene network analysis)を行った。その結果、発生緩衝の度合いと相関する巨大なモジュールが明らかになったが、その中のわずか15の分子が母親由来の制御を示す発生緩衝分子であることが明らかになった。また、発生の遺伝子ネットワークが、温度環境から発生を安定化させている発生緩衝のネットワークと非常にゆるいつながりを保っていることも明らかになった。研究代表者らは、発生の遺伝子ネットワークが発生緩衝のネットワークと非常にゆるい結びつきであることにより、ダイナミックな発生を可能にしているのではないかという新たな仮説を発表した。本研究の成果は、BMC Ecology and Evolutionに受理された。

一方で、新型コロナ感染症の拡大により、カタユウレイボヤを用いた継代実験は行うことが出来なかったうえ、魚類の実験についても、今年度は魚の産卵のタイミングに至らず、予定通りの進捗を得ることができなかった。魚の産卵は来年度が見込まれている。来年度、これらの実験を遂行し、データ解析を目指したい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は、カタユウレイボヤの姉妹種で作成したハイブリッド胚でのトランスクリプトーム比較から、発生緩衝に関わる分子を同定し、それらの分子と発生経路とがどのように関わっているかを、co-expression gene network analysisという手法を使って解析した。その結果、発生経路が発生緩衝の遺伝子ネットワークと非常にゆるい結びつきを示していることを明らかにし、ゆるい結びつきであることによって、時空間的にダイナミックな発生過程が可能になっているのではないかという新たな仮説を提唱した。本結果は、BMC Ecology and Evolutionに受理された。

一方で、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、予定されていた英国でのフィールド実験を行うことが出来ず、シーケンスデータを得ることが出来なかったため。また、魚類の実験については、キングサーモンが産卵しなかったため。キングサーモンの産卵は、今年度の秋に産卵する可能性が高い。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、発生緩衝度合いが、変化する環境の中で次世代に与える影響を明らかにするため、異なる姉妹種から得た卵を使うことで異なる発生緩衝度合いを示すカタユウレイボヤの集団について継代飼育を行い、熱ストレスがあった場合と無かった場合とで、次世代(卵)にみらる変化を、シングルセル・シーケンスによって明らかにする。また、昨年度行うことができなかった魚類での実験についても、今年度は産卵が見込まれるため、サンプリングを行い、トランスクリプトームデータの取得およびネットワーク解析を進める。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、予定されていた英国でのフィールド実験を行うことが出来ず、シーケンスデータを得ることが出来なかったため。また、魚類の実験については、キングサーモンが産卵しなかったため。キングサーモンの産卵は、今年度の秋に産卵する可能性が高い。今年度、英国でのフィールド実験を実施し、カタユウレイボヤを用いた実験のデータを得るとともに、キングサーモン卵も採卵し、魚類についての実験データも取得したい。このため、一部予算を繰り越して使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Marine Biological Association of the UK(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      Marine Biological Association of the UK
  • [Journal Article] Co-expression network analysis of environmental canalization in the ascidian Ciona.2022

    • Author(s)
      Sato, A., Gina M Oba., Nathanael Aubert-Kato., Yura, K., Bishop, J. D. D.
    • Journal Title

      BMC Ecology and Evolution

      Volume: 22 Pages: 53

    • DOI

      10.1186/s12862-022-02006-9

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] カタユウレイボヤ姉妹種における熱ストレスへの適応戦略2021

    • Author(s)
      佐藤敦子
    • Organizer
      第92回 日本動物学会 オンライン米子大会関連集会 第39回ホヤの生物学談話会
    • Invited
  • [Remarks] 発生が温度環境から守られるしくみについて、遺伝子ネットワーク解析の論文がアクセプトされました

    • URL

      http://www-p.sci.ocha.ac.jp/bio-atsuko/20220404_152419.html

URL: 

Published: 2022-12-28  

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