2022 Fiscal Year Research-status Report
Systems understanding of developmental buffering and evolvability
Project/Area Number |
21K06287
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐藤 敦子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90589433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発生緩衝 / 進化可能性 / カタユウレイボヤ / 母性効果 / ネットワーク解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
カタユウレイボヤの親個体に熱ストレスを与えたものと与えないものとで、卵の母性mRNAのばらつきがどのくらい異なるか、また、親の発生緩衝度合いはばらつきの変化にどのように影響するかを明らかにした。発生緩衝度合いは母性遺伝するため、熱ストレスに比較的強いタイプAを祖母とする卵と、タイプBを祖母とする卵(両方とも、祖父はタイプB)を得て、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析を行った。さらに、それらの卵を野生型タイプBと交配し、次世代の卵を得て、同様の網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、交配の種類によって、卵の母性mRNAの発現におけるばらつきが大きく異なることが明らかになった。本研究では、それぞれの交配について1個体ずつからしか卵を採取していないため、ばらつきに見られる差が、交配の種類ではなく、個々の母親の個体差である可能性ももちろんあり、今後さらに検証を続ける必要がある。さらに、正常な発生過程に重要な、シグナリング分子の発現のいくつかは、熱ストレスの影響を受けやすいことが明らかになった。本研究の成果は、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析技術を使って母性mRNAにおけるばらつきを調べた先駆的成果であり、現在、投稿論文を執筆中である。 さらに、カタユウレイボヤよりもさらに世代時間が短い線虫を用いて、継代によって形質のばらつきはどの程度遺伝するのか、seam cellをGFPで標識した系統を用いて、熱ストレスの影響の多世代遺伝について調べた。先行研究では、熱ストレスに応答した遺伝子発現が14世代にわたって多世代遺伝することが報告されていたが、形態におけるばらつきは、それよりもずっと早く熱ストレスの影響が消失することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、カタユウレイボヤの卵のばらつきについて、研究成果を論文にまとめることが出来たほか、カタユウレイボヤの発生における時系列データの取得を行い、解析を始めることが出来たため。線虫の実験については、当初の予想とは異なった展開となった。
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Strategy for Future Research Activity |
カタユウレイボヤの実験については、当初の計画どおり、時系列データを取得することが出来たため、その解析を進めている。当初の予定と異なり、繰り返しや振動のパターンを観察していないため、empirical dynamic modelingではなく、whole genome co-expression network analysis (WGCNA)を用いて、共発現する遺伝子ごとのモジュールを作成し、発生緩衝が強いものと弱いものとで、モジュールの様態やネットワークの特性がどのように異なるかについて解析を進める。さらに、卵の母性mRNAのどのような特性によって、受精後の発生の発生緩衝度合いが予測できるかについて、解析を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた論文の投稿に至らなかったため、投稿論文費用を次年度に繰り越した。論文はほぼ完成しており、共著者の承認が揃い次第投稿の予定である。
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Research Products
(3 results)