2021 Fiscal Year Research-status Report
メダカ科魚類における同所的種分化の遺伝基盤と浸透交雑による促進
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21K06291
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
柿岡 諒 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, ポスドク研究員 (40712055)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 進化 / 種分化 / 適応 / 交雑 / 遺伝子流動 / ゲノム / 魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物が同所的に種分化するには,資源分割と同類交配の成立が重要であると考えられている.しかし,それらがどのような遺伝的基盤にもとづいて進化したのか実証した研究はほとんどない.また,同所的種分化は系外からの遺伝子浸透によって促進されるという可能性が指摘されているものの,実証例はこれまでにほとんどない. インドネシアのポソ湖で同所的に種分化したと考えられるメダカ科魚類を対象に,資源分割と同類交配に関わる形質がどのような遺伝的基盤を持っているのかを明らかにするために,量的遺伝子座位(QTL)解析を計画している.本年度は,QTL解析に供するための飼育家系を育成し,試料の入手を行い,形質測定を進めた.またQTL解析に関する分子実験およびゲノムワイドSNPジェノタイピングを開始した. ポソ湖のメダカ科魚類野外集団における遺伝子浸透とその同所的種分化における役割を明らかにするために,野外集団に関する集団ゲノム解析を行う計画である.本年度は,全ゲノムリシーケンシングデータを複数種から得るため,分子実験および全ゲノムシーケンシングを行った.計画しているうち一部の個体からシーケンスデータが得られたため,予備的な解析を行い,現在種間で交雑が見られるか,種間での遺伝子流動の阻害が示唆される領域があるのか,逆に遺伝子流動が示唆される領域があるのかなどについて調べた.また,これらの結果について研究論文の公表および学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,QTL解析に必要な交配家系の育成を完了し,試料を入手した.また,QTL解析を行うための実験と表現型測定を進められた.集団ゲノム解析を行うのに必要な野生個体の全ゲノム配列を得るための実験を開始するとともに,解析を進められた.
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Strategy for Future Research Activity |
ポソ湖内のメダカ属魚類における資源分割や同類交配に関わる形質の遺伝的基盤をQTL解析により解明するために形質の測定を進める.それとともに,親魚と分離世代の個体でゲノムワイドSNPジェノタイピングを行ってQTL解析を行い,資源分割と同類交配の遺伝的基盤を調べる. ポソ湖内のメダカ属魚類が種分化する前に,他の集団からの遺伝子浸透があったことが先行研究により示されている.しかし,ゲノムのどの領域が浸透してきたか,そして浸透遺伝子が同所的種分化にどのような役割を果たしたかは明らかになっていない.そこで,集団ゲノム解析を進めて浸透したゲノム領域の特定や淘汰の痕跡を検出するなどして,それらが種分化に果たした役割を検証する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,室内で飼育した個体を対象に実験を行う上で使用する試薬・消耗品を購入することを目的として確保した予算の一部である.魚の育成状況に応じて順次試料の準備と実験を進めていったところ,一部の実験を次年度に行う必要が生じたため繰り越した.予定していた試料は本年度中に入手しており,残る実験を次年度の前半中に行う予定である.
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Research Products
(3 results)