2023 Fiscal Year Annual Research Report
回遊パタンの進化の過程を探る:初期生活史と内分泌系からのアプローチ
Project/Area Number |
21K06296
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
前田 健 沖縄科学技術大学院大学, 海洋生態進化発生生物学ユニット, スタッフサイエンティスト (20572829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 碧 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (30745328)
山崎 曜 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 助教 (40816021)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 回遊 / 初期生活史 / トランスクリプトーム / 卵サイズ / 耳石 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、6月に研究分担者の拠点である静岡県と佐渡島、8月に研究代表者の拠点である沖縄でそれぞれ打ち合わせを行うとともに、オンラインでも随時ミーティングを行い、議論を行った。また、伊豆半島と佐渡島でサンプリングを行った。 トランスクリプトーム解析により、浮遊期を海で過ごす両側回遊性の種では、仔魚が変態し河川を遡上する際に甲状腺ホルモンに関わる遺伝子が顕著に発現するのに対し、海に降りない河川性の種では明瞭なピークを示さないことが明らかとなった。これらと仔稚魚の発育過程から、初期生活史において移動を伴わない河川性の種では、形態変化がよりゆるやかに進行することが示唆された。 ベトナム産ヨシノボリ属の形態計測を終え、分類に関する論文原稿を投稿した。これまで手付かずだったベトナム中部産の種の分類が整理され、今後はこれによって確定した学名を使用できる見込みである(2新種を含む)。 耳石の微量元素分析のサンプル数を増やし、フィリピンとベトナムの種の回遊履歴の推定をより詳細に行った結果、日本産の種とは異なるパタンを持つことがわかってきた。卵径計測のため、卵巣の組織切片の作成を試みたが、組織研究用に固定された標本ではないためうまくいかなかった。方法を変更し、成熟した卵巣に含まれる卵母細胞10~20個の長径と短径を計測し、それらの平均から卵母細胞の径を算出した。回遊型が分かっている日本産の種との比較により、フィリピンとベトナムの種の回遊型を推測した。 11月にニュージーランドで開催された国際学会The 11th Indo-Pacific Fish Conferenceにおいて、本課題の成果の一部を口頭発表した。本課題で行ったさまざまな研究を総合し、結果をまとめる準備が概ね整った。一部はより良い成果とするため、今後さらにデータを得て、研究を進めたいと考えている。
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