2023 Fiscal Year Research-status Report
防潮堤建設が及ぼす海浜性昆虫の種構成及び資源利用の変化
Project/Area Number |
21K06309
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 憲生 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00400036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 昌宏 北海道大学, 総合博物館, 教授 (50221833)
根岸 淳二郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90423029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海浜性甲虫 / 防潮堤 / 生息微環境 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
海浜性昆虫は、種によって生息微環境が異なり、大きく湿った砂地、乾いた砂地、海浜性陸上植物に区分され、波打ち際から20-30mの範囲で種構成が変化する。また、生息微環境と餌の場所が異なるため、複数の環境を利用する種も存在する。その結果、防潮堤建設によって、上記のいずれかの環境が消失・分断され、様々な海浜性生物の存否に影響を及ぼす可能性がある。加えて、消滅を免れた種においても、餌資源を変更するなどの影響を受けていることも考えられる。本研究では、海浜性昆虫(主として甲虫類)の詳細な生息場所の調査、及び食性に関する実験等を行い、防潮堤がもたらすWeb構造の“変化”の解明を目的とした。 今年度の茨城県日立市の伊師浜海岸での定期調査により、一般的な海浜環境における海浜性甲虫の季節消長がおおむね明らかになった。また、それに伴い、季節ごとの生息微環境の変化も捉えることができた。主にターゲットにしているハマヒョウタンゴミムシダマシとニセハマヒョウタンゴミムシダマシでは、個体数はハマヒョウタンゴミムシダマシが多い。また、両者はともに3月頃から漂着海藻下での出現を確認し、4-6月に越冬成虫のピークを、8月頃に新成虫のピークを迎え、10月には海藻下では認められない。それ以外の季節では、より内陸の方の陸生植物の根際にいることが確認され、季節ごとにその生息微環境を変化させていることが明らかとなった。これにより、これら飛翔力を欠く海浜性甲虫類の生息微環境保持のためには、海岸から陸生植物が生育する内陸部まで全体が必要であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画にあるように、リアルタイムPCRで海浜性甲虫の腸内遺物の特定を試みたが、期待した成果は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ハマヒョウタンゴミムシダマシ、およびニセハマヒョウタンゴミムシダマシにたーげとを絞り、飼育条件下でどのような餌資源を選択するのかについて、飼育観察実験を行うとともに、仙台周辺で生息微環境の変化が認められるかについての野外調査を行う。
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Causes of Carryover |
リアルタイムPCRの実験が思うような成果が得られなかったことと、調査に赴く時間が確保できなかったことによる。実験を飼育に切り替えたこと、野外調査に行くことにより、適正に予算を執行する良い低である。
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Research Products
(3 results)