2023 Fiscal Year Research-status Report
Spiders eat insects - but Why are ant-mimicking jumping spiders vegetarian?
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21K06310
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
橋本 佳明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任教授 (50254454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市岡 孝朗 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40252283)
兵藤 不二夫 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (70435535)
山崎 健史 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (90746786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アリグモ / 食性 / 安定同位体分析 / 胃内容物分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究で,熱帯雨林ではハエトリグモ科のアリグモ属は食性を肉食から植食に転換していることを明らかにした。これは,気候に明瞭な季節性のない熱帯雨林では,栄養価が低い餌源で成長速度が低下しても,アリグモは生存が可能なためであると考えた。一方,季節変動がある亜熱帯林ではアリグモは肉食性を維持している可能性がある。このことを検証するために,台湾・台中市内の亜熱帯林3ヶ所で,非擬態ハエトリグモ22種とアリグモ6種(166個体)と,同所のアリ類や周辺の落ち葉,生葉など(167地点)を採集し,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング分析による食性の解析を行なった。その結果,1)亜熱帯ではアリグモはアリよりは高い窒素同位体比を持ち,肉食性ハエトリグモに近い値を示した。また炭素同位体比についても同様の結果であった。さらに,2)アリグモ類のToxeus maxillosus(Myrmarachne maxillosa)の胃内容物からは,ハエトリグモ科の1種とコカゲロウ科の1種が,Myrmarachne japonicaからは,コカゲロウ科の1種とカスミカメムシ科の1種が餌として検出できた。これらの結果から,季節変動がある亜熱帯林ではアリグモは肉食性を維持している可能性が示唆された。今後,さらに調査地点やアリグモ種数と個体数を増やして,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング分析を行い,亜熱帯林におけるアリグモ属の食性解明を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で海外渡航が規制されていたため,海外調査の実施が遅くなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様に,生物多様性が高く,季節変動の無い熱帯域と,それに比べて多様性が低く,季節変動が有る亜熱帯でアリグモ類の食性を比較するために,亜熱帯でハエトリグモやアリグモ類の採集調査を行う。採集した個体を用いて,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング解析を実施し,熱帯では植食性を示すアリグモ類が,亜熱帯では肉食性で有ることを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の海外渡航規制のため,海外調査の実施が遅れている。 次年度も,台湾で採集調査を実施し,本年度と同様に,亜熱帯林で,非擬態ハエトリグモやアリグモ属,同所のアリ類などのサンプリングを実施して,窒素炭素同位体分析と胃内容物のメタバーコーディング分析によるアリグモ属の食性解析を行う。
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Research Products
(1 results)