2021 Fiscal Year Research-status Report
極東海域(FAO Area 61)の魚類リスト構築と固有性魚類群集の特異性と起源
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21K06320
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (60213302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極東海域 / 魚類相 / 起源 / 固有性 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で外国での調査は全く出来なかった。しかし、過去のサンプルから、ニベ科、タチウオ科、タイ科、クロサギ科等の極東の魚類と関係ある魚種について、できる限りDNAの解析を実施した。極東魚類の固有種のリストのデータベース化は、日本と台湾については概ね終了した。特に中国とベトナムの魚類については、最新の学名が使われておらず、間違いも多く、リストも不十分で分布するがリストにも無いので、個別の報告で確認していく必要があり、時間が掛かる。ロシアについては、代表的な商業種の魚については概ね確認したが、他はまだ抜けて居る状態だ。 魚類の起源に関するDNA解析では、タイ科やクロサギ科は全世界に分布するので、全世界の属や種類の基本的なミトコンドリアの16S、Cytochrome b、COI(Barcode)、D-loopの組織のあるものを優先して解析してシークエンスデータを解析してきた。その結果、ミトコンドリアの系統樹からタイ科では6亜科があるとされてきたが、もう少し少ない可能性がでててきた。6亜科は独立した単系統ではないことが明確になってきた。大きな流れとしては、魚類は一つの大陸から大陸が分断、離散していく過程で出来た古テーチス海(現在の地中海)起源とするものが、まず東西に分散し、その後西大西洋、南アフリカ、インド洋、東のはての太平洋西岸(日本列島)に分散してきた傾向がミトコンドリアの解析の結果から窺えた。 一方この逆の方向性で全世界に分散したのはタチウオ科魚類である可能性が出てきた。極東には小型タチウオ類似種群が原始的で、その後大型になるタチウオ類似種が分化し、太平洋からインド洋、古テーチスから西大西洋、一部は南アフリカから南米東岸に分散した傾向が窺えた。以上から現時点から極東の固有魚類相は、他地域から来訪したものと極東で分化して世界にお廣貼った者と二つ起源が窺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で、海外調査が出来ないので、持っていないサンプル入手が全く出来ていない。同定が難しいものと、同定が特徴が有るので簡単なもの、あるいは非常に稀な種で入手が難しいもの区別して対応することとした。生息量の多いくて入手が容易なものや、同定が容易なものはできる限り現地の知り合いに頼んで、入手してもらう。入手が困難なものは、長期戦で手に入るのを試みてもらう。 以前コロナ禍の影響を受けて、入国の許可が出ない国も多く、サンプリングはまだ困難で状況見ながら対応するしかない。入手出来ていない種類がある東太平洋南部や西アフリカは治安と入手可能性が高い情報が得られれば、現地調査を行いたい。 極東魚類の固有種のリストのデータベース化は、シノニム関係の解決が出来ないとどれが有効種か不明だが、研究者の意見が一致せず、そこを判断するのが非常に難しい。自国の研究者の見解を優先する国もあり、非科学的な判断をしている報告もあるので、見極めが極めて重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況をみながら、データベースの構築を平行して、極東の固有種で重要な商業種や養殖種なのに分類学的な解決が出来ていない魚種も浮かび上がってきた。これらは今後のためにも最優先して分類学的解決が必要と判断された。特にスズキ科は東アジアにはずっと3種知られるが、現在7種の固有種が存在する可能性が出てきて、驚いている。またイワナ類の固有種は2種で1種は4亜種とされているが、さらにもう1種の存在の可能性が出てきた。最も東アジアで固有種で水産重要種として知られるフエフキダイ科メイチダイ属魚類はインド・西部太平洋に広く分布するとされるが、東アジアのものは同定が難しい同胞種であり、別種であることが可能性が高く、新種を含む複数種の可能性が高く、何とか解決させたい。 従来の極東魚類相のたたき台ファイルに2019年までの日本産魚類の変更のあったもの、あるいはその他の追加や分類学的変更点と関連ずけるためにファイルは種番号でリレーショナルデータベース化を進めている。可能ならシノニム関係も分かるリレーショなるデータベース化したいが、研究者間の意見の違い、あるいは非科学的な見解のもあり、有効種としてのの判断が難しく、お互いの関係でリレーションナル化が難しい場合も多いので、反対意見を入れて、また同じ分類群の研究者の意見を聞いて最終的には私の判断で統一化を図りたい。
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