2021 Fiscal Year Research-status Report
集団レベルの活動リズムを生み出す自己組織化機構の解明
Project/Area Number |
21K06329
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菊地 友則 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 准教授 (80608547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50313424)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ウルトラディアンリズム / 自己組織化 / 社会性昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、これまで知見が少なくが実際の社会活動の時間スケールに近いウルトラディアンリズムに着目し、集団レベルのリズム活動の発現メカニズムを、個体、個体間のリズム活動から生じる自己組織化機構の視点から理解することを目的とした。本年度は、個体レベルのリズム特性の解明に取り組んだ。具体的には、アリの社会の構成要素である女王、内役ワーカー、外役ワーカー毎にリズム活動を示すのか、またそのリズム特性について調査をおこなった。まず、単独条件下で昼夜各10時間ビデオ撮影を行い、移動スピードから行動を移動(1)と静止(0)に二値化した。その後、パワースペクトル解析を行い、最大のスペクトル密度を活動周期の値とした。移動行動そのものにカースト間で差異がみられ、女王は他のカーストに比べて移動速度が速く、活動時間が短い傾向がみられた。同様に、リズム活動もカースト間で異なり、外役はリズム活動が確認できた個体の割合が内役や女王に比べて高く、リズム周期に関しては女王が内役や外役に比べて短い傾向がみられた。これら移動特性は昼夜間で大きく異なり、活動レベルの低い夜間はリズムの消失が多くの個体で観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、個体、個体間のリズム特性の解明からボトムアップ的に集団レベルのリズム活動を解明するのを目的としている。初年度の目的は個体レベルのリズム特性の解析であり、研究実績の概要でも書いた様に、各カーストのリズム特性のみならず、移動の基礎的特性も明らかにすることが出来た。以上の事から当初の目標を達成できたと考えられるため、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、リズム活動に及ぼす個体間接触の効果、特に社会維持において重要な女王の接触がワーカーのリズム活動に与える影響について調査を行う。加えて、個体間相互作用の帰結として生じる集団レベルの活動パターンについてもリズムの有無や周期について調査する
|