2022 Fiscal Year Research-status Report
集団レベルの活動リズムを生み出す自己組織化機構の解明
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21K06329
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菊地 友則 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 准教授 (80608547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50313424)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウルトラディアンリズム / 自己組織化 / 社会性昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、これまで知見が少なく実際の社会活動の時間スケールに近いウルトラディアンリズムに着目し、集団レベルのリズム活動の発現メカニズムを、個体、個体間のリズム活動の視点から理解することを目的とした。本年度は、個体レベルのウルトラディアンリズムの追加データをとるとともに、2個体時のデータ解析の準備を進めた。前年度は、女王、内役ワーカー、外役ワーカーのカースト毎の解析を行ったが、対象としているトゲオオハリアリは女王がコロニーに1匹しか存在しないため、他のカーストに比べてサンプル数が稼げなかった。そこで、コロニーを新たに採集し、女王カーストのサンプル数を増加させた。新たに10個体の女王を解析した結果、いずれも20-40分程度のリズム周期が確認され、前年度のデータと合わせると、84.2%(16/19)の女王がウルトラディアンリズムを持つことが明らかになった。また、前年度の解析では、各カーストの平均移動速度がカースト間で異なりワーカーに比べて女王で早いことが明らかになっていた。追加データを合わせて一回あたりの移動速度分布を調査したところ、分布の形がカースト間で大きく異なっていた。内役ワーカー、外役ワーカーの移動速度の殆どが(約98%)が100pixel/s以下だったのに対し、女王では67.8%に過ぎなかった。女王の残りの移動の約30%は100〜300pixel /sの速い速度のものであった。これらの事から、女王は移動に関して、ワーカーと同じような速度を示すフェーズと、女王特異的な早い速度を示すフェーズの二つがあることが明らかになった。2個体条件下の各個体のリズムの有無や周期、2個体間の同期の有無については鋭意現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの確保(サンプリング調査の調整や天気)や撮影、解析に手間取り、当初の目標を達成できなかったことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は2個体間のリズム解析と集団レベル(50個体の)のリズム解析をすすめ、これまで明らかになった個体レベルのリズム特性と合わせて、集団レベルのリズム活動の発現メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していたサンプリング調査に行くことができず、その分の助成金が残った。次年度はこれを旅費として計上し、サンプリング調査費用にあてる計画である
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Research Products
(2 results)