2023 Fiscal Year Annual Research Report
集団レベルの活動リズムを生み出す自己組織化機構の解明
Project/Area Number |
21K06329
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菊地 友則 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 准教授 (80608547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50313424)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 女王接触 / リズム活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、女王の存在がワーカーのリズム活動に及ぼす影響を調査した。 昨年度までの研究から、女王とワーカーで数十分周期のウルトラディアンリズムが見られることが明らかになっている。しかしながら、このリズム特性が全て個体に由来したものなのか、女王などの他個体との相互作用によって調整された結果のものなのか明らかになっていない。社会性昆虫では女王との接触経験が、ワーカーの繁殖行動や体表炭化水素組成などの様々な形質に影響することが知られている。そこで、女王との個体間相互作用の消失がワーカーのリズム活動に及ぼす影響について調査を行った。野外から採集したコロニーを実験室内で飼育、巣外活動の比率から個体を外役と内役に分けて、それぞれを女王から隔離後0日、1日、3日、7日、14日の5回、単独状態で8時間動画撮影をした。それを解析しリズム活動の有無、周期の長さなどを調査した。 ワーカーのリズム活動は女王との接触によって影響を受け、女王からの隔離期間によって変化することが明らかになった。具体的には、内役、外役ともに女王から隔離すると(隔離後1日)周期が短くなった。一方、30分ごとの活動量も低下することから、ワーカーは低い活動量で頻繁に活動していることが示された。また隔離期間の延長により(3日、5日、7日、14日)、徐々に活動周期の長期化、活動量の増加が観察された。これらのことから、ワーカー(外役、内役)が示すリズム活動は個体や齢期(齢間分業)に加え、女王との接触で調整されていることが明らかになった。これは多くの先行研究明、女王存在下と女王不在下では分業パターンが変化、とも一致している。今後は、一回あたりの移動量や方向転換の角度等の解析から、リズム活動の変化の社会的機能について調査していく予定である。
|