2021 Fiscal Year Research-status Report
サルはにおいで毒キノコを判別するのか:忌避を誘導する揮発性物質の特定
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21K06332
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 晶子 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (10646665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都野 展子 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (60295102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニホンザル / 忌避行動 / 菌食 / キノコ / 採食生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度は、野生ニホンザルの菌食行動データならびに菌類子実体(キノコ)試料を採取するため、2021年4月~6月ならびに9月に屋久島西部林道域にて調査を実施した。 林内に発生したキノコから揮発性物質を捕集した後、キノコの一部を遺伝子解析用に採取し、残った部位を種同定用の乾燥標本として保存した。4~6月に採取した試料を用いてガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)濃縮分析を実施したところ、試料濃度が低く、良好な結果が得られなかった。長期化した梅雨のため採材環境が高温多湿であったことも一因であると考えられたが、年間降水量が多く湿度の高い屋久島では、先行研究の手法(林床のキノコをガラス瓶で覆い、その中に吸着剤を24時間静置する)がそもそも適していない可能性もあった。そこで9月の調査では、林内ではなく実験室内での捕集を試みたが、推奨される室温での捕集では腐敗臭が発生しやすいことがわかった。検討の結果、ジップロックに入れたキノコのカサの上に吸着剤を置き、冷蔵庫内で捕集することで、良好な結果が得られることが確認できた。調査時期のキノコの特徴としては、4~6月はベニタケ属が多く、9月はテングタケ属が多かった。どちらも採食頻度の高いキノコであるが、ニホンザルが拒否反応を示す割合はテングタケ属が圧倒的に高いことが、これまでの調査によって判明している。今後は、テングタケ属のデータをより多く収集するため、調査地以外の場所での試料採取も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、屋久島での野外調査と試料採取を実施した。実験に関しては、高温多湿環境下でのサンプリング方法を確立することができ、CG-MS解析でも良好な結果が得られた。以上の理由より「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、テングタケ属のキノコに焦点を当てた研究を進める。そのため、次年度はテングタケ属の発生数が多くなる8~9月に野外調査を実施し、調査地以外での試料採取も実施する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Stomach and colonic microbiome of wild Japanese macaques2021
Author(s)
W. Lee, T. Hayakawa, Y. Kurihara, M. Hanzawa, A. Sawada, A. Kaneko, A. Morimitsu, Natsume T, Aisu S, Ito T, Honda T, Hanya G
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Journal Title
American Journal of Primatology
Volume: 85
Pages: e23242
DOI
Peer Reviewed
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