2022 Fiscal Year Research-status Report
サルはにおいで毒キノコを判別するのか:忌避を誘導する揮発性物質の特定
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21K06332
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 晶子 京都大学, 野生動物研究センター, 特任研究員 (10646665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都野 展子 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (60295102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニホンザル / 菌食 / 忌避行動 / キノコ / 採食生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、野生ニホンザルの菌食行動データならびにに菌類子実体(キノコ)試料を採取するため、2022年8月から9月にかけて屋久島西部林道域にて野外調査を実施した。これまでの調査でサルによる採食頻度が高かったテングタケ類、イグチ類、ベニタケ類を中心に採取し、形態的特徴に基づく手法ならびに遺伝子解析によるキノコの種同定を実施した。採取したキノコには、猛毒種シロウロコツルタケなど毒キノコも含まれることを確認した。過年度の実験結果を踏まえ、キノコの揮発性物質の捕集作業は高温多湿な林内ではなく室内でおこなった。前年度は、キノコの腐敗を防ぐため冷蔵庫に保管したキノコから採材したが、今年度は室温・湿度の安定した実験室で作業することができたため、先行研究により近い条件下での実験が可能となった。しかしながら、ツルタケなどテングタケ類の一部は腐敗が進んでしまい、捕集方法に関しては今後更なる検討を要する。また、林床のキノコを用いた先行研究の手法に比べると、捕集できる揮発性物質の濃度が低くなる傾向がみられたが、吸着剤の数を増やすことでこれに対応し、GC-MS濃縮分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり屋久島での野外調査を実施し、菌類試料の採取をおこなった。種同定の結果、採取したキノコには猛毒種も含まれていることがわかり、GC-MS解析による揮発性物質の特定も実施した。以上の理由より「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、揮発性物質を用いたバイオアッセイを予定している。また、引き続き野外調査を実施し、屋久島の環境により適したサンプリング手法の確立を試みる。
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Research Products
(3 results)