2021 Fiscal Year Research-status Report
Predicting the fine scale distribution of invasive alien species through analyzing their potential habitats and community
Project/Area Number |
21K06341
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
池上 真木彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (60791366)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 外来種 / 種分布モデル / ニッチ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は外来種が生息する可能性が高い地域を高解像度にて予測する技術の開発を目指すものである。2021年度は外来アリが生息する地点の土地利用状況に着目し、種分布モデルを用いた分布予測の高精度化を行った。また外来アリ各種の土地利用ニッチと気候ニッチを推定し、ニッチ重複度(保守性)と種分布モデルの予測精度の検証を行った。 全世界のアリ分布データ、気候データ、土地利用データを入手整備した。世界のいずれかの地域に外来種として定着し、十分な地点データが存在する82種を対象として以下の解析を行った。まず82種の原産地域と侵入地域それぞれにおける土地利用ニッチと気候ニッチを比較し、ニッチ重複度を評価した。さらに、土地利用データと気候データそれぞれで外来アリ各種の全球分布予測モデルを作成し、ニッチ重複度と分布予測精度の比較を行った。 土地利用ニッチと気候ニッチを比較したところ、土地利用ニッチの方が侵入地域と原産地域で重複度が高いことが判明した。しかし、ニッチ重複度と分布予測精度の間には相関は見いだせず、土地利用データを用いた分布予測は気候データを用いた分布予測と同程度の精度である事が示された。 本研究より、外来アリは侵入地域において新しい気候に進出しても原産地域と同じ土地利用環境を好むことが判明した。しかし、種分布モデルを用いた予測精度はニッチ重複度と相関関係は無く、土地利用データを用いた分布予測は気候データを用いた予測モデルと同程度の精度であることが判明した。これにより予測モデルの高精度化のためには、予測精度を決定する因子の解析が必要であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外来種分布データの整備に手間取り、初年度に予定していた群集解析を行わず、先に生息環境(ニッチ)解析を行う必要が生じた。しかし想定していたより良い結果が得られ、全体として順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年も引き続き外来アリに着目し、予測精度を決定する因子の解析を深める予定である。また出現パターンと利用するニッチから群集解析を行い、外来アリ各種が国内のどのような土地利用・気候ニッチを利用しているかを解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
学会がオンライン開催となり、旅費支出が無かったためである。本年度はデータ整備のための人件費ならびにPCなどの機材購入に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)