2023 Fiscal Year Annual Research Report
Predicting the fine scale distribution of invasive alien species through analyzing their potential habitats and community
Project/Area Number |
21K06341
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
池上 真木彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (60791366)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外来種 / 土地利用データ / 気象データ / 群集解析 / ニッチ幅 / アリ / Formicidae |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は在来アリと外来アリが利用する土地利用ニッチと気候ニッチの比較評価を深化させ、外来アリの原産地域・侵入地域、在来アリの原産地域それぞれでニッチの幅と分布域の広さを評価した。その結果、外来アリになりやすいアリは原産地域でも広範囲に分布し、幅広い気候ニッチと土地利用ニッチを持つことが示された。また、都市域や農地、河川周辺の季節的な湿原などは外来アリが多く、外来アリを輩出しやすい環境であることも示された。これは、従来より示されている外来種が攪乱環境に適応しているという知見を補強するものである。
土地利用ニッチと気候ニッチを比較すると、外来アリは原産地域における気候ニッチ幅の方が侵入地域の気候ニッチ幅より広い傾向があった。一方、土地利用ニッチでは、侵入地域の方が原産地域よりニッチ幅が広かった。これは、外来アリが気候ニッチより土地利用ニッチで保守性が高いという知見に反する結果である。本解析は、全種を対象としたPCAによる群集解析のため、ある種にとって無関係な土地利用パラメータも計算に含まれていることに由来すると考えられる。今後は、種分布モデルなどを用いて各種にとって重要なパラメータに基づいたニッチ幅の比較を行うなど、より精度の高い解析を進める必要がある。また、PCAを用いた群集解析やニッチ幅の評価では、各軸の説明力が弱いことも引き続き課題として残っている。
これらの成果をもとに、土地利用の観点から外来種にとって好ましいと考えられる攪乱環境を含むグリッドの計算を行うことで、外来種の侵略に脆弱である地点の全球推定や、将来外来種となる可能性がある種やそれらの種が所属する「外来種になりやすい生物群集」の推定が可能となると考えられる。
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