2021 Fiscal Year Research-status Report
Increase of productivity by resource partitioning: an individual-based approach using salmonid fishes
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21K06348
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 幹生 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10294787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 種間競争 / 資源分割 / 河川性魚類 / イワナ / アマゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「資源分割(棲み分け、食いわけ)による生物種の共存が生産性を高める」という予測を検証することを目的としている。種間での資源分割のしくみに関する知見が豊富に蓄積されているサケ科魚類(イワナ、アマゴ)を用い、個体レベルでの行動様式に着目することで、生産性を高めるプロセスや仕組みといった機構的な側面を明らかにする。また、長期観測を行うことで、予想される仕組みが実際に野外で顕在化しているかについて検討する。 これまでイワナとアマゴの種間関係に関する研究を行ってきた四国の仁淀川水系黒川源流域を調査地とする。本研究申請時(2020年)より、2つの支流の3調査区(イワナ優占区、アマゴ単独区、共存区)を選び、個体レベルでの調査を行ってきたが、2021年度は、その調査を引き続き継続した。各調査区で魚類を採捕し、各個体の体長と体重を測定するとともに胃内容物を採取し、個体識別標識を施して放流するという一連の作業を繰り返すことで、成長と胃内容物組成(採餌様式を反映)とを個体レベルで紐付けたデータを得る。また、集団レベルで長期観測を行うための調査区間を17区間設定し、生息数、体サイズを測定するともに2021年生まれの0歳魚集団に標識を施して放流した。これを定期的に繰り返すことで、集団レベルでの成長や齢構成に関するデータを収集していく。2021年度は、これら個体レベル調査と長期観測調査の両方を軌道に乗せることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた個体レベル調査と長期観測の2つの調査を軌道にのせることができたため、おおむね順調と言えるであろう。個体レベル調査については3ヶ所の調査地において、2020年以来引き続き、胃内容物、成長、および移動に関するデータが順調に得られた。長期観測に関しては17区間の調査地を設定し、標識再捕調査を開始しすることができた。予定されていた手法で今後継続していくことができそうな見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
3ヶ所で行っている個体レベル調査に関しては、1年分(初夏~晩夏~翌春)のデータが得られ次第、サンプル処理、データ解析に移行する。長期観測については、今後も、初夏、晩夏、翌春の年3回の調査を毎年行っていく。
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Causes of Carryover |
年度末の2ー3月にサンプル処理、3月に野外調査を実施する必要があるため、旅費および謝金が不足しないように確保しておいた。野外調査が予想より順調に進んだことと、サンプル処理を依頼する人員が予想よりも少なかったために未使用額が生じた。これらは次年度のサンプル処理費用および旅費にあてる。
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