2021 Fiscal Year Research-status Report
Exhaustive analyses on interrelationships among plant functional traits based on application of machine learning to an open access database
Project/Area Number |
21K06354
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
饗庭 正寛 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任助教 (80751990)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 生物多様性 / 機能形質 / 機械学習 / 機能的多様性 / 植物群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
欠測値の数に基づく絞り込みの結果、機能形質データベースTRYに登録されたデータのうち、1875種の10形質(応答形質としては12形質を用いた)について解析を行った。単相関が最大の形質を用いた単回帰モデルと全形質を用いた勾配ブースティング回帰木による機械学習モデルの予測性能を比較した。すべての形質について、機械学習モデルの予測能力が単回帰モデルの予測能力を上回っており、形質間関係における複数形質間の関係、交互作用、非線形性の重要性が示唆された。草丈(樹高)、茎(材)密度、重量あたり葉面積、葉乾重密度といった形質で特に機械学習モデルの効果が大きかった。一方、種子重量や葉重量あたり炭素含量などの形質では、機械学習モデルの効果は限定的であった。機械学習モデルにおいて、最も重要度の高い形質は最も単相関の強い形質と必ずしも一致しなかった。草丈(樹高)では、最も単相関の強い形質は種子サイズだったが、機械学習モデルにおける重要度は茎(材)密度、葉サイズ、種子サイズの順だった。葉乾重密度では、最も単相関の強い形質は茎(材)密度だったが、機械学習モデルにおいては重量あたり葉面積、草丈(樹高)、葉の厚さ等の重要度が高く、茎(材)密度の重要度は6番目であった。これらの発見は、これまで単相関関係ばかりが注目されてきた形質間関係研究に大きなインパクトを与えるのみならず、気候変動・人為撹乱が形質間関係を介して生態系機能に与える影響の予測性向上や機能的多様性評価における形質選択のガイドラインの提示など、応用研究においても幅広い活用が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象種、対象形質の絞り込みを予定通り完了し、単回帰モデルと機械学習モデルの予測性能の比較、および機械学習モデルにおける変数重要度の評価を行い上述のように重要な成果を得ることができた。交互作用の重要度についても予備解析を終えて現在計算を実行中であることから概ね予定通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通りに進んでおり、2022年度の早い時期には交互作用の重要度についての解析が完了する。2022年度には、予定通り気候や系統といったコンテクストが形質間関係に与える影響の検証に取り組む。2023年度には形質間関係の次元数の解析を予定している。現在のところ、当初計画の大きな変更を必要とするような障害は生じていない。
|
Causes of Carryover |
必要な計算スペックを備えたワークステーションを予定より安価に調達できたことに加え、参加予定の学会がコロナの影響でオンライン開催であったために次年度使用額が生じた。当該助成金は、今後の必要に応じた計算能力の拡張のためのハードウェア購入に使用する。
|