2022 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス感染症からみたヒトの潜在的遺伝適応能
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21K06357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中 伊津美 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (10723778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 順 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80301141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FUT2 / SNP / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウイルス含め、これまでの進化の過程でヒトは多くの病原体と対峙し、その全てに打ち勝ってきた。しかし、ヒトの類まれなる感染症適応能の根源についてはよくわかっていない。本研究は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)と関連するヒト遺伝子多型の解析を通して、人類進化遺伝学視点から、ヒトが未知の感染症に対して高い潜在的遺伝適応能を有している可能性を調べることを目的とする。 前年度に唾液中のABH抗原の有無がコロナ発症に関わることを報告した。唾液中のABH抗原は、Fucosyltransferase 2(FUT2)遺伝子の多型によって、ABH抗原が発現する分泌(Se)型と発現しない非分泌・低分泌(se)型が規定されている。先行研究により、se型とノロウイルスやロタウイルス抵抗性との関連が報告されている。se型を示す385A>Tミスセンス変異は、日本を含むアジア地域に集団特異的に観察される。当該アリルについて、47都道府県別のアリル頻度データと日本列島古代人の多型データを解析した結果、385Tアリルは弥生時代に大陸から日本列島に持ち込まれた可能性が高いことが示唆された。また、385TアリルのEHH解析から、最近の正の自然選択の可能性が示唆された(経験分布からはiHS解析で有意差なし)。さらに、自然選択強度の推定を行った結果、選択係数は0.025程度であり、TTを保有する個体はAAに比べて2%ほど有意であったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭の事情で研究協力施設に赴き遺伝子解析実験を行う時間が十分に確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き多型解析を行う
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Causes of Carryover |
家庭の事情で研究協力施設に赴き遺伝子解析実験を行う時間が十分に確保できなかった. 引き続き多型解析を行う
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Research Products
(3 results)