2023 Fiscal Year Research-status Report
日常生活における触覚を活用した動作改善および身体負担軽減について
Project/Area Number |
21K06364
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
大下 和茂 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (10615826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 恭平 九州共立大学, スポーツ学部, 講師 (10638349)
疋田 晃久 九州共立大学, スポーツ学部, 准教授 (70780104)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ライトタッチ効果 / 歩行 / 歩幅 / インソール / 触覚 / 運動指導 / 持ち上げ動作 / 腰痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,触覚を利用して身体部位や動きの認識を向上させることで,生活動作改善や身体負担軽減に及ぼす影響を検討している. 令和5年度は触覚を利用した動作改善・身体負担に及ぼす影響について検討した.歩行については,令和4年度,インソールの母指球から爪先にかけて温熱や突起を用いた触覚ガイドを設け,歩幅延長を促す効果を検討した結果,単に蹴出しを意識するより,歩幅がより延長することを示した.5年度は,さらに,触覚を用いた歩行改善の学習効果についても検討を加えた.通常のインソールを利用し,単に立脚終期の蹴出しを意識することでも歩幅や歩行速度の増加に繋がる.しかし,この方法では,蹴出しを意識している時のみの効果に限られた.一方,インソール先端に温熱を用いた触覚ガイドを設けることで,触覚ガイドがある時のみでなく,その後,ガイドをなくしても,歩幅延長効果が維持されることを示した.触覚を用いたガイドにより,具体的な動きが認識できたことにより,一時的な動作学習に繋がったと考えられる.歩幅の維持・延長を伴う速歩は健康に対する有用性が示されており,ウォーキングの際に,ウォーミングアップなどで触覚を用いたガイドにより適切な動作を認識できることで,その後の本運動でも適切な動作が維持される可能性を示した. また,令和5年度は,持ち上げ動作時に,触覚を用いた身体負担軽減に繋がる方策について検討を加えた.令和4年度までに,腰部の位置に着目する指示を与えることで,腰痛予防に効果的とされる持ち上げ動作に繋がることを示唆した.そこで,5年度は,腰部の位置が認識しやすいように触覚刺激を与えながら持ち上げ動作を実施した.しかし,触覚刺激による持ち上げ動作への有意な影響は確認されなかった.そのため,現在,触覚の提示方法について検討を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触覚ガイドを活用した歩行動作の改善については,単なる動作改善だけでなく,動作学習への効果も示唆できた.これらの成果を基に,歩行改善に繋がる“スマートインソール”開発についても提言できており,計画以上に進展している. 一方,持ち上げ動作時における身体負担への影響については,期待された結果が得られていない.この点について,触覚の提示方法などを再検討している.これにより,触覚ガイドにより動作改善の効果が得られる動作とそうでない動作があるかなどについても言及できると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
持ち上げ動作時に,腰部の位置に着目する指示を与えることで,腰痛予防に効果的とされる動作に繋がることを,すでに示唆している.腰部の位置が認識しやすいように触覚刺激を与えながら持ち上げ動作を実施したが,動作への影響は認められなかった.現在,触覚の提示方法や提示部位について検討を進めている.このような触覚ガイドの効果が認められない背景は,提示部位や方法によるものなのか,触覚ガイドにより動作改善の効果が得られる動作とそうでない動作があるのかなどについて明らかにする予定である.
|
Causes of Carryover |
持ち上げ動作に対する触覚ガイドの影響についての検討で,成果発表に関わる費用(論文掲載料,英文校正料など)を確保していた.しかし,『研究実績の概要』で説明した通り,期待した効果が得られなかったため,『今後の研究の推進方策』の通り,現在,再検討を進めている.この成果発表に関わる費用を令和6年度に使用する予定である.
|