2021 Fiscal Year Research-status Report
Allele frequency distribution to unravel the human-specific enigma of polyglutamine diseases
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21K06366
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
嶋田 誠 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 講師 (00528044)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリグルタミン / 人類進化 / long-read sequencing / チンパンジー / 多様性 / HapSTR |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にヒトでは、類人猿に比べてゲノム多様性が低いにもかかわらず、ポリグルタミン病の責任反復多型では多様性が拡大し、そのことでポリグルタミン病のリスクのある長い反復のアリルを抱えることになった。この多様化が人類進化のいつ、いかなる環境で起き、そしてこの多様化による疾患リスクを上回る益を探ることを、目的として開始した。 計画では、チンパンジー30個体と23の人類集団より390個体の試料を集める段階、次に、進化速度の速いSTRを隣接のSNPハプロタイプとの一連のHapSTR型を判定して、世界中にポリグルタミン反復多型がどのように分布拡大したかを明らかにする段階とがある。 2021年度は、海外のバンク由来の線維芽細胞の安定的培養体制の構築を行うことができた。本研究で用いるヒト由来試料の大部分はDNA抽出された段階のものを調達したのであるが、2個体分のみ線維芽細胞で調達した。その細胞から安定的にDNAを抽出することができるようになったために、繰り返しパイロット実験に用いることができるようになり、多試料をもちいる実験系の確立に役立つことが期待される。 また、同時に、チンパンジーDNA試料について、霊長類研究所飼育個体由来8個体分、霊長類研究所が他施設より提供を受けた個体由来23個体分、計31個体分供与を受けることができた。このことにより計画通りすべての試料が揃ったことになる。 計画通り、長鎖DNA塩基配列決定法を実施するため、long PCRの条件検討を行っている。2021年度は、9つのポリグルタミン病責任反復配列をふくむゲノム領域について、それぞれ10kb以内でプライマを設定して、個々に最適なPCR条件を探索した。現在、アニーリング温度やMg濃度がそれぞれまちまちながらも、4つの領域にてほぼ安定的条件を見つけた。また、その他3つの領域で再現性に不安定ながら標的バンドの増幅が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響からか、PCR作業を行う人材確保が難しく、安定して実験室作業を続けられなかった。また、試料や資材の調達についても、待ち時間が発生した。その上、突如所属機関のPCR用機器(サーマルサイクラー)が相次いで故障し、計画変更を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
近隣の共同利用研究機関に実験機器の使用許可をいただいているので、今後は、そちらの施設で作業できる研究補助員を募り、安定して増幅できる座位から、順次増幅するようにしたい。次世代シーケンサーの1回のフローセルに多量の試料をかけることになるため、現在は一気に多座位のPCR産物を調整することを優先し、多くの座位で安定したPCR条件を求めているが、効率を最初から求め過ぎてもいけないかもしれないと思いだした。
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Causes of Carryover |
今年度やり残したlong read sequencing(長鎖塩基配列解読技術)を近隣の共同利用研究機関にて研究補助員を加えて実行するため、2021年度分の予算(とくに物品費と人件費)を繰り越して使用したい。
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