2022 Fiscal Year Research-status Report
Epigenetic approach for the muscle function-related gene analysis
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21K06367
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
川村 敏之 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (80413772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 一洋 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 准教授 (10805055)
東 章弘 福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (50546257)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ACTN3 / Epigenetics / Muscle strength / Physical fitness test / Mechanical efficiency / Stretching / 筋線維 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
ラボテストにおいて,スプリント/パワー系種目の一流スポーツ選手の筋パワーに対し,ACTN3遺伝子多型の影響が認められることが多く報告されているが,ACTN3の運動能力全般に着目した調査研究は稀少である. 初年度の研究実績として報告したACTN3遺伝子多型と体重支持指数(WBI)の関連は静的筋力をターゲットとした研究であり(Azuma, Matsui, and Kawamura, 2021),等尺性膝伸展力(静的筋力)には遺伝子多型の影響は見られず,ATCN3遺伝子は力よりも速度に関連が強いとする従来の報告を支持した. 2022年度においては,フィールドテストの観点から広く各種体力要素とATCN3遺伝子多型の関連を調べる調査を行い,123名の18歳男性による新体力テストに対する遺伝子多型の影響を検討した.その結果,スプリント/パワー系種目である50m走や立ち幅跳びにおいてRアレルを有する多型(RRおよびRX)の方がXXよりも優位であることが統計的に明らかとなった.この研究結果においては成文論文としてまとめられ,国際誌に投稿し,現在,査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドテスト(新体力テスト)とACTN3遺伝子多型の関連についてはすでに成文論文としてまとめられ,投稿されて公表を待つ段階にあることに加え,ラボテストの観点からは,2021年度の成果としてACTN3遺伝子多型と体重支持指数(WBI)との関連が国際誌プロシーディングに公表済みである(Azuma et al., 2021).このほか,柔軟性の一過性変化とACTN3遺伝子多型との関連を調べるための機器(PNFストレッチングを自動化するシステム)を開発し,これについては成文論文化および国際誌への投稿が既になされている(査読中).また,持久性体力の視点から自転車駆動の機械的効率に着目し,機械的効率とACTN3遺伝子多型の関連を調べる実験が終了しており,分析が進められている。さらに,RR型の被験者において,遺伝子上流領域におけるシトシンのメチル化を解析しエピジェネティクスを加味したACTN3遺伝子解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
日本人を対象としたコホート研究によれば,ACTN3遺伝子多型は体力テストで評価された柔軟性に影響を与えることが知られている.遺伝子多型間の柔軟性の差異が筋の機械的特性(ヒステリシスやヤング率)によるものか中長期的にもたらされた変化であるのかを明らかにするため,同一条件下でストレッチング刺激を与えることのできる機器(PNFストレッチングを自動化するシステム)を用い,ハムストリングスの柔軟性の一過性の変化をRRとXXにおいて比較する. また,現在,分析が進められている機械的効率とACTN3遺伝子多型の関連について成文論文化し,公表する. さらには,RRを対象としたメチル化解析により,ACTN3遺伝子におけるエビジェネティクスの解明を試みる.具体的には,全体の2割程度を占めるRR型の中で,メチル化が認められる被験者と認められない被験者(非メチル化)における運動能力の違いを明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
次年度の成果報告などへの経費使用のため。
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