2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫グロブリン受容体を介した神経幹細胞の増殖と分化の新規制御機構
Project/Area Number |
21K06370
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
成瀬 雅衣 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (60455219)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳室下層に存在する神経幹細胞は、様々な外因性・内因性の因子によって時間的・空間的に厳密に制御され、ニューロン、グリア細胞を産生し脳を形成する。この発生制御機構が何らかの異常によって傷害された時、脳の発達異常や神経疾患、精神疾患を発症する。よって脳の発生を制御する機構を解明することは病態機序や治療法を開発するために重要である。 免疫系と神経系の発生、機能にはクロストークが存在することは以前から知られており、自閉症など発達障害と自己免疫疾患には相関が深い。胎仔に経胎移行した母体由来IgGは、免疫学的に未熟な新生児期の感染予防に重要な役割を果たす。しかし異常抗体の移行による病態が胎仔に起こりうるといった有害な側面も有する。 免疫グロブリンが結合する受容体は主にB細胞やNK細胞などの免疫細胞に発現し、抗原の食作用や炎症性サイトカイン産生、細胞傷害作用などの免疫機能を調節する。一部の受容体は神経系の細胞に発現していることも数は少ないが過去に報告されている。しかしながら、脳の発生において、免疫グロブリンシグナルが担う役割は明らかではない。 本年度、RNA-seqのデータベースの解析によりマウス胎仔の前脳組織、成体マウスの脳室下層組織に免疫グロブリン受容体が発現していることを明らかにした。また実験的に免疫グロブリンが特定の受容体を介して神経幹細胞の自己複製能を制御することを示唆した。今後、内在性免疫グロブリン-受容体による新たな神経発生の制御システムを胎仔マウスを使用して明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
神経幹細胞の増殖、分化を制御していると考えられる免疫グロブリン受容体を、in utero electroporation法を用いてノックダウンし、その表現系を解析することにより、内在性免疫グロブリン-受容体による新たな神経発生の制御システムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験に必要な遺伝子発現操作ツールの納品に時間がかかり、次年度の納品となったため。 次年度に、納品されるツールを使用し、標的遺伝子のノックダウンの表現系の解析をおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)