2021 Fiscal Year Research-status Report
Early-life stress experiences alter adult behavior: the lateral habenula and anxiety and depression.
Project/Area Number |
21K06371
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
一條 裕之 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40272190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 友也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70733343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外側手綱核 / Parvalbumin / 臨界期 / 幼少期ストレス / 不安 / うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまでに,幼少期の特定時期に繰り返しストレスを受けたマウスでは,成長後の外側手綱核(LHb)に於いてパルブアルブミン(Parvalbumin, PV)陽性神経細胞が少なく,ストレス刺激に対する反応性が高く,個体が不安・うつ様行動を呈することを明らかにした. 特定の成熟段階において,LHbの神経回路と情動に関わる行動の発現が,経験に依存して改変される事は,情動という高次機能における臨界期を想像させる.しかしながら,PV陽性神経細胞の減少・ストレス反応性の亢進と,不安・うつ様行動の発現の因果関係は明らかではない.とくに,PV陽性細胞数の減少が,PVの発現低下によるものか細胞死によるか不明である.またPV陽性細胞がどの様にストレス反応性の亢進に寄与するか不明であり,行動発現の神経回路機構は解明されていない. 本研究はジフテリア毒素受容体を利用した標的細胞ノックアウトを用いたLHbのPV陽性神経細胞を除去.ならびに光遺伝学的なPV陽性神経細胞操作のもとでの,モノアミン系神経回路の活動性とマウス個体の行動を検討する. 遺伝子導入率を確認するために,PV-cre マウスとArchT-EGFP-floxedマウスと交配し,PV陽性神経細胞にEGFPを発現させたマウスを作成し,標識を確認した.しかしながら,EGFP陽性細胞は免疫染色したPV陽性細胞よりも多く観察された.PVタンパク質に比してEGFPの半減期が長いため,EGFP標識細胞と真のPV陽性細胞が乖離したと考えられ,PV陰性細胞を誤認する恐れがある.行動の変容に及ぼすLHbのPV陽性細胞の役割を調べるためには,PV-creマウスを利用した方法を慎重に精査し,妥当性と明らかにしうる内容を再検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究の結果を論文にまとめて発表した. Nakamura, T., Kurosaki, K., Kanemoto, M., Sasahara, M., & Ichijo, H. (2021). Early-life experiences altered the maturation of the lateral habenula in mouse models, resulting in behavioural disorders in adulthood. Journal of Psychiatry and Neuroscience, 46(4), E480-E489. 概要で前述したとおり,PV陽性細胞の操作に関して,予定していた方法について精査している. 他方でPV陽性細胞の作動性を明らかにし,機能を特定するためにin-situ hybridization chain reaction (in-situ HCR)と免疫染色の多重染色を行った.その結果,LHbのPV陽性神経細胞の70%がvglut2陽性のグルタミン酸作動性の興奮性神経細胞であることが判明した.
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Strategy for Future Research Activity |
PV-cre-ArchT-EGFPマウスではEGFPが軸索にも局在し,細胞の同定に不明瞭な部分があったので,PV-cre-R26-H2B-EGF(またはmCherry)を作成し,核に蛍光性タンパク質を局在させたマウスを作成して,再検討する.その結果によって,以下のaまたはbを実施する. a. 蛍光性タンパク質陽性細胞が,PVタンパク質陽性細胞よりも多い場合,遺伝子導入で標識された陽性細胞は,PVの発現履歴を表現していると考えられる.これをPV陽性細胞数減少のメカニズムを知ることに利用する.幼少期ストレスによるPV陽性細胞数の減少は,発現量の減少によるか細胞死によるかは明らかではなかった.幼少期ストレスがPVタンパク質陽性細胞数とPV発現履歴細胞数に及ぼす影響を比較し,PV陽性神経細胞数の減少のメカニズムを検討する.これまでに,PV-T2A-creとR26R-H2B-EGFP, R26R-H2B-mCherryマウスを手に入れ,交配の準備を整えている. b.遺伝子導入タンパク質と免疫染色で検出したPVタンパク質の発現に乖離がなかった場合は,予定通りPV-creマウスのLHbにジフテリア毒素あるいは光遺伝学的受容体を発現するウィルスを投与しPV陽性神経細胞の機能を検討する。
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Remarks |
新聞による論文紹介(2021/08/19,富山新聞) webニュース https://www.mapion.co.jp/news/column/cobs2280155-1-all/
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Early-life experiences altered the maturation of the lateral habenula in mouse models, resulting in behavioural disorders in adulthood.2021
Author(s)
Nakamura, T., Kurosaki, K., Kanemoto, M., Sasahara, M., & Ichijo, H.
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Journal Title
Journal of Psychiatry and Neuroscience
Volume: 46
Pages: E480-E489
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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