2023 Fiscal Year Annual Research Report
Early-life stress experiences alter adult behavior: the lateral habenula and anxiety and depression.
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21K06371
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
一條 裕之 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40272190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 友也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70733343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外側手綱核 / Parvalbumin / 臨界期 / 幼少期ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生後10日(P10)からP20の幼少期にストレスを受けたマウスでは,成長後に外側手綱核(Lateral Habenula: LHb)のParvalbumin陽性神経細胞(PV neuron)数が少なく,ストレス刺激に反応するLHbの神経細胞数が多く,不安・うつ様行動を呈する.幼少期LHb神経回路脆弱性を検討するために,PV-creマウスとR26-H2B-EGFP マウスをかけ合わせ,PV mRNAを転写した細胞をEGFPによって標識するPV-EGFPマウスを作製した.P60のLHbのPV-EGFP陽性細胞の9.14±4.69%がPV-proteinを発現しており,PV-protein陽性細胞の58.85±1.98%がPV-mRNAを発現していた.PVの発現は高度に動的で,PV-EGFP陽性細胞の中にはPV-proteinの発現を止めた細胞が存在し,そのためPV-creを利用して光受容体などを発現させたマウスを利用する場合,PV-protein陰性の細胞を操作するおそれがある.PV-creマウスでジフテリアトキシン受容体を操作する予定手技は不適切であったので,PVの転写(PV-mRNA),翻訳(PV-protein)と履歴(PV-EGFP)からPV neuronの発現の動態に戻って基礎データを検討した.P10において,LHbではPV-mRNA陽性細胞とPV-protein陽性細胞はほとんど観察されなかったが,PV-EGFP陽性細胞がすでに出現していた.日齢の進行につれて,PV-protein陽性細胞とPV-EGFP陽性細胞の密度が増大し,P16以降は増大が止まった.P16においてPV-mRNAを有するPV-protein陽性細胞は多く,その割合はP23およびP60よりも有意に高かった.PVの発現開始はP10以前に始まり,P16にかけてPV-mRNA転写とPV-protein翻訳が増大する.P23以降にPV-mRNAの転写は減少するが,PV-proteinの発現はプラトーとなり維持された.P16にPVの転写と翻訳が極大を示し,P23以降に転写が減少し,PV発現が維持されるというLHbにおけるPV発現の履歴は,経験に依存したLHbの改変と成体の行動の変容を引き起こす段階と一致した.PVの発現制御がLHbの成熟機構に関与することが示唆される.
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